【猪木さん一周忌】唯一の主演映画の舞台裏で語っていた“小児がんで亡くなった娘”への想い

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猪木が主演をつとめた映画

 2023年10月1日、一周忌を迎えた、不世出のスーパースター、アントニオ猪木。

 9月12日には横浜市鶴見区の菩提寺、総持寺で一周忌法要がおこなわれ、自身のブロンズ像が除幕されたのは既報の通り。そして、来る10月6日には、いよいよ映画「アントニオ猪木をさがして」が全国公開される。同作は、神田伯山による書下ろし講談、現役時の映像や各関係者インタビュー、そして猪木に影響を受ける男性を主人公とする3本の短いドラマで構成されるドキュメンタリーである。

 ところでアメリカには、プロレスラー出身の俳優が、ことのほか多い。元ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンは2020年、「最も稼いだ俳優ランキング」で1位になったし(Forbes誌調べ)、これまたWWEの主力だったバウティスタはマーベルの人気シリーズ「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の主要キャラで大ブレイク。強靭な威容が買われ、「007」シリーズの敵役まで務めた。「ロッキー3」でシルベスター・スタローンと戦ったハルク・ホーガンは、その後、何本も主演映画を撮ったし、先ごろ訃報が入ったテリー・ファンクはそのスタローン監督作品で映画デビューしている(「パラダイス・アレイ」)。

 実はジャイアント馬場にも「007」の伝説の敵役“ジョーズ”へのオファーがあった(1977年日本公開「007/私を愛したスパイ」)。しかし、本人が固辞。一方で力道山は「力道山物語 怒涛の男」「怒れ!力道山」など、自身の名が入った主演映画に多数出演している。そこに来て「アントニオ猪木をさがして」が、既に本人が鬼籍に入っているので致し方ないとはいえ、評伝映画の趣となっているのは、なんとなく惜しい。

 だが、猪木にも、まごうことなき主演映画があったのである。それも、元プロレスラー役、しかもマスクマンとしての。

 それが、辻仁成監督作品「ACACIA」である。

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