ジャニーズ事務所の顧問になったNHK元理事(62)の評判 「どうする家康」のキャスティングにも影響力

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朝日がお墨付きを与えた“天下り”

「クローズアップ現代」によって若泉氏がジャニーズ事務所に再就職した件が広まると、SNS上では批判が多く見られた。

 一方、現在は同事務所問題を厳しく追及する朝日新聞が、若泉氏の転職を無批判でこれまで2度も報じ、他紙の放送担当記者の目を丸くさせた。

 まず2022年10月28日のデジタル版記事。インタビューに基づく若泉氏の半生記だった。2度目は同年11月08日付朝刊の「ひと」欄。話題の人物の紹介である。ジャニーズ事務所内での若泉氏の役割については「(テレビ)出演時の権利関係などの相談を受ける」と書かれていた。

 BBCの報道でジャニーズ事務所の性加害が社会問題化する前だったものの、芸能関係者とNHKからは特定の芸能事務所への再就職を疑問視する声が上がっていた。だから、他紙の放送記者たちは若泉氏の転身について記事にしていない。だが、朝日の記事は結果的に、再就職にお墨付きを与える形になった。

「離職後もNHK内に力を残し、ジャニーズ事務所でも実力者になることが見込まれた若泉氏とのパイプを、朝日は守りたかったのではないか」(他紙の放送担当記者)

60歳を過ぎたばかりの退任には同情論も

 一方、若泉氏に同情的な声もNHK内外にある。前述の通り、若泉氏は2020年4月に理事になり、昨年4月に退任した。たった1期2年。まだ61歳だった。今年1月に退任した前田晃伸前会長(78)の意向によるもので、単に前会長が若泉氏と反りが合わなかっただけと見られている。

 元みずほフィナンシャルグループ社長・会長の前田前会長は銀行流の人事を導入し、50歳以上の職員のリストラを断行した。なにより、幹部人事を事実上、自分の意のままにした。企業が65歳までの雇用延長を図る中、60歳を過ぎたばかりの若泉氏を退任させたのは「前会長の横暴」という意見が局内外にある。

 前会長の改革は局内の空気を悪化させ、若手も含めて毎月20~30人もの退職者が出るようになった。さすがに局内には危機感が生じ、今年1月に元日銀理事で現NHK会長の稲葉延雄氏(72)は前田改革の見直しを図っている。

 毎日新聞は9月17日付朝刊に掲載した世論調査で、ジャニーズ事務所問題について有権者がどう考えているかも調べ、それを伝えた。運営費のほぼ100%を受信料に頼るNHKも、視聴者の考えを調べなくてはならないだろう。

ライター・鈴木文彦

デイリー新潮編集部

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