囲碁・仲邑菫の韓国移籍は「母親の希望」 叔母は母子密着について「二人は毎日抱きしめ合うくらいの仲良し」

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世界一のための渡韓

 かくして娘に寄り添う母親は、今またさらなる難局に挑もうとしている。

 囲碁強国・韓国への移籍を示した仲邑。すでに韓国棋院に棋士登録を申請済みで、承認されれば活動拠点は韓国に移る。

 よもやアジア大会の一件が引き金となったのか。

「そういうわけではありませんよ。姉は『世界一』という菫の目標を達成するには移籍したほうがいいと考えたのです」(同)

 たしかに韓国棋界は近年、多くの世界王者が輩出し、腕を磨くにはよさそうだ。3歳から碁を始めた仲邑は7歳の時にかの地で研鑽を積んでおり、韓国語に不自由はないそうで、

「母娘二人、ソウル市で生活を送る予定です」(同)

 仲邑の父親はプロ棋士で師匠でもある。昨年3月、所属を関西総本部から娘と同じ東京本院に移したばかりだが、そのまま単身で日本に残るとか。

「彼は東京でも大阪でも好きなところに住めばいい、と姉は言っています」(同)

モヤモヤ感を抱くファンも

 ともあれ、日本棋院から海外に移籍する例は初めてのこと。エールを送りたくはなるけれど、囲碁ファンの心境は複雑らしい。

「そもそも仲邑がプロになれたのは、囲碁強国に対抗しうる棋士の育成を目的に日本棋院が新設した推薦枠に選ばれたから。なのに、これからという時にあっけなく日本を飛び出すというので、素直に送り出せないモヤモヤ感を抱くファンもいる」(囲碁記者)

 その思いは日本棋院にも届いているようで、小林覚理事長が言うには、

「次世代を担うスター棋士の移籍を残念に思う声もありますが、より高いレベルで技量を高めたいという気持ちは当然のことで、仲邑菫女流棋聖のチャレンジを積極的に応援します」

週刊新潮 2023年9月28日号掲載

ワイド特集「盤外戦の行方」より

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