「根性論はアカンけど根性は大切」 ラグビー平尾誠二に薫陶を受けた平尾剛が明かす名言(小林信也)

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形見のDELTA

「根性論はアカン。けど根性は大切や。科学的根性論を体系化する必要がある」

 そんな誠二の言葉が剛の胸に刻まれている。ある本には、〈量より質、質より気分だ〉と書かれていた。大事なのは「明るさ」だ。誠二が亡くなった後、最後まで病床に付き添った人から形見を渡された。

「このペン、剛に渡しといてくれ。渡したらわかる」

 そう言って託された。

「それが、これなんです」

 剛が見せてくれたのは、オフホワイトにマーブル柄、太軸のDELTAだ。

「講演にご一緒した時、直前まで控室で内容をまとめるメモに使っていた。私が『いいペンですね』と言ったのを覚えておられたんです。フェデリコ・フェリーニの生誕を記念して作られた限定モデルです」

 形見には伝言が添えられていた。

「ラグビーを語る人はたくさんおるが、書いて伝える人は少ない。剛は書いてくれ、書き続けてくれ」

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。大学ではフリスビーに熱中し、日本代表として世界選手権出場。ディスクゴルフ日本選手権優勝。「ナンバー」編集部等を経て独立。『高校野球が危ない!』『長嶋茂雄 永遠伝説』など著書多数。

週刊新潮 2023年9月28日号掲載

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