「リニア中央新幹線」開業のメリットを台風7号による運転見合わせからひもとくと
東海道新幹線を改良するよりも
「東海道新幹線を改良することはできませんか」
これに簡単に答えれば、盛土や切取を高架橋に改築すれば雨に強くはなるが、だれが考えても大変な手間に長い時間を要する、ということになる。
それならば、いっそ新しい新幹線を建設すればよく、現にJR東海はただいま建設に取りかかっている。
言うまでもなく、それが品川駅と名古屋駅との間を結ぶリニア中央新幹線だ。リニア中央新幹線の延長285.6kmのうち、高架橋やコンクリート製の橋が11.4km、そして雨の影響を全くと言ってよいほど受けないトンネルが250.4kmと合わせて261.8kmと全体の91.6%にも達する。
残る23.8kmはどうやら盛土や切取らしいが、騒音対策も兼ねてコンクリート製のシェルターに覆われるなど万全の雨対策が施されるはずだ。したがって、線状降水帯の発生などものともしないであろう。雨だけではなく、リニア中央新幹線は大地震にも強い。車両は超電導リニアと呼ばれ、新幹線のように鋼鉄製の車輪が鋼鉄製のレールの上を走らず、約10cm浮き上がって走行している。
脱線の危険性が皆無
このため、走行中に大地震が発生したとしても、車両は地上での大きな揺れによる影響をまず受けず、新幹線では停止寸前に起きるかもしれない脱線の危険性が皆無となる。
逆に大きな揺れで車両がどこかに飛んでいってしまったり、あるいは車両が線路際の壁などに衝突したりするのではと懸念する声もあるがこちらも心配ない。車両は強力な磁石とコイルとの吸引や反発によって常に安全な場所に置かれている。
停電が起きたとしても非常電源など少なくとも安全に停止できる仕組みが整えられている。
たった1日東海道新幹線が止まっただけでも大きな影響があった。仮に大きな災害で数カ月に渡って運休という事態になれば、日本全体に与える影響は計り知れない。
その点を考えると、リニア導入というJR東海の選択は必然だったと言えるのではないか。
もちろんメリットは災害への強さだけではない。
改めて、なぜリニア中央新幹線を作るのか、他の理由も見てみよう。
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