21歳「久常涼」が欧州ゴルフツアーで初優勝 「ビジネスクラスにしちゃおうかな」に現地が沸いたワケ

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大スターが突然エコノミークラスに搭乗

 プロゴルファーが飛行機の「エコノミー席」でニュースになった例は、私が知る限りではわずかだ。

 たとえば、メジャー4勝を挙げた南ア出身のビッグスター、アーニー・エルス(53)が、05年にエコノミー席で移動したことが大きな話題になった。日ごろはプライベートジェットを多用していたエルスだが、欧州からドバイへ向かう際、彼は一般の航空会社のファーストクラスを購入していた。

 しかし、急な事情でチェックインに遅れてしまい、ぎりぎりで空港に到着したときには、すでに彼のファーストクラス席は別の客のものになっていた。エルスのファーストクラス席は翌日の便に振り替えられていたそうだ。どうしてもその日に移動しなければならなかったエルスは、すでにエコノミー席に乗り込んでいた知人に頼み込み、自分の翌日のファーストクラス席と交換してもらった。

 そのエコノミー席は、最後部の5人掛けの真ん中だった。エルスが機内の通路を奥へ奥へと歩いていくと、乗客たちは「うわー、アーニー・エルスだ!」と大騒ぎ。エルスは長身で大柄な体を屈めながら5人がけの真ん中に座ると、周囲に笑顔で「ハロー!」と挨拶をしたという。

 離陸後、キャビンアテンダントがやってきて、「エルス様、ファーストクラスの代金をお支払いいただいているので、ファーストクラスのお食事をお持ちします」と言った。すると彼は「僕の食事が視界に入る周囲の人々にも同じ食事を出してくれるのならファーストの食事をいただくけど、そうじゃないなら僕にも周囲のみなさんと同じものを持ってきてください」と応じたという。

 そう言いながらエルスは、周囲の乗客と同じように袋入りのピーナッツをつまみ、紙コップのジュースを飲んでニコニコしていたそうだ。周りの乗客もみな笑顔になり、記念写真を撮ったり握手をしたり。気取らないスターに接した全員が「エルスファン」になったそうだ。

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