21歳「久常涼」が欧州ゴルフツアーで初優勝 「ビジネスクラスにしちゃおうかな」に現地が沸いたワケ

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 フランスの難コース、ル・ゴルフ・ナショナルで開催された欧州の男子ゴルフDPワールドツアーのカズー・オープン・ド・フランス(9月21~24日)で、日本の久常涼(21)が見事、初優勝を飾った。喜びの中、インタビューに答えた久常の“意外な一言”が現地を沸かせた。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

誰もが驚くスピード優勝

 2020年にプロ転向した久常は、翌年、下部ツアーのABEMAツアーで年間3勝を挙げて日本ツアー(JGTO)出場権を獲得。以降、出場7試合すべてで予選通過を果たし、瞬く間にシード権を手に入れるスピード出世を果たした。

 そして、日本ツアーで戦った昨年の11月にDPワールドツアーのQスクール(予選会)に挑み、堂々7位で突破して出場権を獲得。今年から主戦場を欧州に移し、フル参戦を始めたばかりの新人である。そんな久常がルーキーイヤーにいきなり初優勝を飾ったことは、周囲も久常自身も驚くほどのスピード優勝だった。

 最終日を首位から4打差でスタートした久常は、前半はイーブンパーに戻すのが精一杯だったが、後半は10番、12番、13番と次々にバーディーを重ねて首位タイに浮上。15番と17番でもバーディーを奪い、66をマーク。通算14アンダーの単独首位でホールアウトし、そのまま逆転逃げ切り優勝となった。

「ビジネスクラスにしちゃおうかな」

「こんな展開は想像もしていなかった」と驚き交じりの笑顔を輝かせた久常は、「信じられない。勝てるとは思っていなかったけど、本当に勝ててうれしい。僕にとってのプロ初優勝だから本当にうれしい」と英語で答えた。

 日本ツアー時代から外国人キャディを付け、積極的に英語の勉強に努めていた久常は、1年足らずの欧州転戦生活を通して英語力を劇的に上達させている。現地で受けた取材に英語で返答するのは、日本人男子選手としてはきわめて「珍しい姿」だった。

 さらに「明日、日本に帰るけど、ビジネスクラスにしちゃおうかな。まだわからないけど……」と久常が口にしたこのフレーズは、傍で耳を傾けていた欧州メディアを沸かせ、SNSでも話題になった。

「ビジネスクラスにしちゃおうかな」と言ったのだから、久常の日本への帰国便は、すでにエコノミー席で予約・購入されていたのだろう。フランスから日本まで12時間以上かかる長時間のフライトでもエコノミー席を取っていたことを思えば、日ごろのDPワールドツアーの転戦では、エコノミー席ばかりを利用していたことが容易に想像される。

 エコノミー席で移動し、堂々勝利を挙げてチャンピオンになり、さらに、エコノミー席を利用していることを笑顔で明かした久常は、人々の目にどう映ったのか。

 まだ勝利がなく、稼いだ賞金も多くはなく、来季の出場権も約束されていない新人だから、転戦費用を抑えるために飛行機の座席はエコノミーで我慢し、「いつかは僕も」と上を目指す。久常の言葉からは、そういう忍耐と向上心が感じ取れ、そんな彼の姿勢に共感を覚えたからこそ、周囲にいた欧州メディアや関係者は彼を笑顔で讃えたのだと思う。

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