暗号資産でファンから「10億円」調達! 「秋元康」新アイドルグループ「驚きのプロジェクト全貌」とテレビ局がヤキモキする理由
仕掛け人はガチの「ドルオタ」
ファンが購入したNIDTは投票権だけでなく、デビュー後にはアイドルグッズや物販のほか、イベント・コンサートのチケット購入、さらに推しへの“投げ銭”などにも利用できる予定だ。
公表されている資料によると、NIDTの発行で集められたお金は7割近くがプロジェクトの運営資金に充てられ、残りがオーバース社の運営費や予備費に回されるという。同社代表で今回のプロジェクトの仕掛け人でもある佐藤義仁氏は、松井証券取締役やSBI証券代表取締役執行役員専務などを経て現職に就いた「金融のプロフェッショナル」。その佐藤氏にインタビューしたことのあるコラムニストの三杉武氏がこう話す。
「実は佐藤氏自身が『ももいろクローバーZ』など女性アイドルグループを長年にわたって応援し続けてきた“ガチのドルオタ”です。佐藤氏は〈推し活の見える化〉をテーマの一つに挙げており、暗号資産を活用することでコンサートに行った回数やグッズの購入量などをデータとして記録。ファン一人ひとりの推し活の歴史やレベルを可視化する構想を掲げています」
また活動実績に応じてグループのメンバーにもNIDTを割り当て、卒業時に付与する退職金制度の創設も発表。結果的にファンは“推し”のセカンドキャリアを後押しする役割も担え、「推し活のイノベーション」が謳われている。
テレビに出なくても「スター」に
さらにNFT(非代替性トークン)など新たなブロックチェーン技術を活用し、アイドルの活動領域をWeb3.0(次世代インターネット)やメタバースへと広げていく構想もブチ上げられた。「先進的な取り組み」と評価の声が高い一方で、一部の民放関係者からは不安の声も上がっている。
民放キー局関係者の話だ。
「これまでアイドルにとって“テレビに出る”ことはある種の憧れであり、知名度を得るのに最も効果的なメディアと考えられてきた。しかし今後、若者のテレビ離れが加速していくなか、ネットやメタバース空間へと活躍の場が広がれば、相対的にテレビの重要度は低くなる。おまけに今回のプロジェクトはファンから直接、資金調達するのでテレビ局やスポンサーの顔色をうかがう必要がなくなり、より自由度の高い活動ができることを意味します。ファンとの繋がりを基盤とした“独立独歩”のアイドルグループが誕生することで、『卒テレビ』の動きがアイドル界全体に広がることが懸念されます」
テレビで冠番組を持って、歌番組に出演する――。そういった手順を踏まずとも「スター」になれるのなら、アイドルの持つ可能性自体も広がることになる。新プロジェクトの成否の行方を、テレビやエンタメ、金融業界までが固唾を飲んで見守っている。