「クソ日本人」と連呼…迷惑系動画で逮捕された“ソマリア海賊”の男が日本に目を付けた特別な事情
その“迷惑系”動画配信者は送検される際、集まった報道陣のカメラに向かって笑顔で手を振った。反省の色は皆無ということなのだろう。大阪府警南署は9月21日、米国籍で無職のイスマエル・ラムジー・カリド容疑者(23)を建造物侵入の疑いで逮捕した。
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【写真をみる】「これはひどい」警察官に囲まれる様子を配信するカリド容疑者 逮捕の瞬間すらネットに流していたという
カリド容疑者は動画配信サイトなどで「ジョニー・ソマリ」の名前で活動。その内容は“迷惑系”と呼ばれるだけあり、極めて醜悪、悪質なものだった。担当記者が言う。
「逮捕容疑は8月30日の正午ごろ、大阪市中央区日本橋にあるホテルの建設現場に侵入したというものでした。この時、カリド容疑者は収益目的で、侵入の一部始終をネット上で生配信していました。目玉が飛び出したガイコツの覆面を被って建設現場に無断で立ち入り、作業員に敷地外に出るよう促されると、『フクシマ! フクシマ!』と叫んだのです」
9月4日に被害届が提出されると、南署はカリド容疑者の犯行と断定。何しろカリド容疑者の非常識な振る舞いは以前から何度も通報されており、署員の出動回数は数十回に達していたのだ。
「これまでカリド容疑者が大阪市内で生配信した動画でも、複数回、警察官に囲まれる様子が映し出されています。スリリングな瞬間ということで、生配信における“見せ場”と位置づけられていたのかもしれません。逮捕時も生配信しており、警察官に向かって『黒人は歩いているだけで罪になるのか!』『大使館に電話しろ!』などと叫び、手首に手錠がかけられる瞬間もネットに流しました」(同・記者)
配信プラットフォームは「Kick」
松野博一官房長官は9月22日の定例記者会見でカリド容疑者の逮捕について触れ、以下のように警鐘を鳴らした。
《ユーチューバー等の発信する方々に対しては、もちろん大前提として自由を確保していかなければなりませんが、その中において他人のプライバシーの侵害であったり、迷惑行為というのは当然のことながら控えていただかなければなりません》
「等」という単語があるとはいえ、松野長官は「ユーチューバー」と言及した。そのためカリド容疑者を「迷惑系ユーチューバー」と表現したメディアもあった。だが、これは事実とは異なるようだ。
「確かにカリド容疑者は、YouTubeに動画をアップしていました。他にもX(旧Twitter)やInstagram、TikTokにも投稿していましたが、ライブ動画配信サービスのKickで非常識な内容の生配信を行うことで話題を集めたのです。日本でよく知られるライブ動画の配信プラットフォームは、YouTube、ニコニコ動画、SHOWROOMなどですが、欧米などではTwitchが人気で、Kickは新興勢力です。Twitchは配信者との収益分配を、基本は50対50とし、一部の配信者は70対30と優遇しています。ところが、Kickは一律95対5と、配信者の利益を最優先にする姿勢を打ち出し、今、シェアを急速に拡大していると見られます」(同・記者)
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