“秋の味覚”の落とし穴「毒キノコで食中毒」はナゼなくならないのか? 「直売所」や「無人販売所」にも注意が必要な理由

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どうすれば中毒を防げるのか

 ……と、そうは書いたものの、やはり天然キノコは旨い。ビールや日本酒と合わせて食べると最高だ。日本の国土の約7割は山林であり、そんな山からの恵みを楽しまないのは日本に住む者としてもったいない気がする。消費者はそもそも見分けなどつかないし、性善説で買い求めるしかないのが実情である。

 結局のところ、農産物直売所の関係者が検品をしっかり行うなど、対応策をとるのがキノコ中毒を起こさないための近道であろう。先のA氏はこう考える。

「以前、うちに卸していた名人が凄く高圧的で、私がキノコのことを聞いたら『俺が採っているだから絶対大丈夫だ!』と言われたことがありました。この人は問題が多い人で契約は解除しましたが、自信満々な人ほど危険だなと。我々も、名人と緊密なコミュニケーションをとるように心掛けたいと考えています」

 日本人は古くからキノコに親しんできた、世界屈指のキノコ好きの国民といわれる。天然キノコは自然と触れ合い、その恵みに感謝する素晴らしい機会ともいえる。その魅力を多くの人に伝えるためにも、キノコ採り名人は自分の腕を過信しすぎないようにすること。そして、農産物直売所の関係者も、キノコ中毒を起こさないという心構えが必要といえるだろう。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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