“秋の味覚”の落とし穴「毒キノコで食中毒」はナゼなくならないのか? 「直売所」や「無人販売所」にも注意が必要な理由

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キノコ中毒は水面下で多数発生?

 筆者は子どもの頃からキノコ好きであり、キノコ狩りに出かけることも多い。そんな筆者は、10年ほど前にとある農産物直売所で、毒キノコが販売されている光景を目にしたことがある。食用のナラタケと誤って、猛毒のニガクリタケを販売していたのだ。

 ニガクリタケ特有の黄色っぽさと黒ずみが出ていて、さすがに目視でわかるレベルの間違いだったため、こっそりとスタッフに教えた。すると責任者が飛んできて、いろいろと口止めについて相談された。そこから先の具体的な内容はここでは書かないことにするので、想像にお任せしたい。

 何はともあれ、天然キノコを扱う以上、毒キノコを誤って販売するトラブルは水面下で起こっているのだろうと理解した。そういえば、筆者が以前に取材したキノコ研究者は、「自称ベテランの高齢者ほど危ない」と話していた。ベテランが自分の腕を過信し、誤って採取した品物を、農産物直売所の関係者が無自覚のうちに店頭に並べてしまうのであろう。

毒キノコを知らないうちに食べている可能性も

 また、毒キノコを食べても、中毒に気づいていない事例も多いと考えられる。というのも、毒キノコがもたらす症状は様々だからだ。ドクツルタケやカエンタケのように命を奪いかねない猛毒キノコや、ドクササコのように激痛が走るという特異な症状が表れる毒キノコもあるものの、多くは下痢や嘔吐などの症状で済んでしまう。食べた本数次第では人によっては重症化することもあるが、日常的に起こり得る下痢や嘔吐と大差ないことも少なくないという。

 そのため、激しい下痢に見舞われても、被害者もまさかキノコで中毒になったなどとは思わないことが多いのではないか。仮に病院に駆け込んでも、医師には毒キノコの知識などないことがほとんどだ。筆者の友人の医者も「毒キノコを食べて“当たる”なんてそんなレアケース診たことないし、診れませんよ」と話していたが、食あたりの薬を処方され、済まされている可能性がある。

 筆者の推測だが、保健所に報告が上がらず、統計に載っていないキノコ中毒は水面下で相当起こっているのではないか。

 では、こうした中毒に遭わないためにはどうすればいいのか。知識のない人が道端に生えているキノコを食べるのは論外だが、個人的には、農産物直売所の天然キノコにも注意を払った方がいいように思う。

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