「ビッグモーターはなくなる」 スポンサーを募集も「社名を残すメリットはない」、兼重前社長は逃げ得?

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欲しいのは“入れ物”

「実質的には新たな“買い手”を探す、ということ。遅かれ早かれ、ビッグモーターという会社はなくなるとみていいでしょうね」

 と解説するのは、経営コンサルタントの小宮一慶氏。

「事業を引き継ぐスポンサーが欲しいのは、土地や設備といった“入れ物”。保険金の不正だけでなく器物損壊容疑で家宅捜索までされた会社名を残すメリットは何もありません」(同)

 引き継ぐにも課題が。

「まず、兼重一族の資産管理会社が株を100%保有している中、一族の影響力をどう排除するか。対応としては、ビッグモーターの株を減資して株主の議決権をなくし、それから増資を引き受けるというやり方がある。買収の場合は、株の価値が今はほぼゼロでしょうが、形式的に数億円は払うかもしれません」(同)

 また、600億円ともいわれる有利子負債があるが、

「信用のあるスポンサーなら、交渉次第でビッグモーターの借入金を減額できる。銀行としても、このまま潰れてしまって全損になるよりはマシですから」(同)

兼重前社長は「うまく逃げた」

 年商5200億円、買取台数6年連続日本一を誇った業界トップの、あっけない末路。かたや会見以降、姿を見せない創業者には、都内に噴水つきの500坪の豪邸がある。軽井沢や熱海などにも別荘を持つほどの財をなしてきた。

「兼重前社長は責任を取る形で経営から外れたので、会社が直面する問題とはもう関係ない。本当に会社を思うなら、資金繰りに窮した会社に自分で金を貸すという方法もあるはず。道義的責任は問われても、それ以上の追及はされない。実にうまく逃げたなと思いますね」(同)

 すでに買い手候補として同業大手の名前も聞こえてくる。ともあれ、パンクしたマイカーを乗り捨てた創業者にとって、残された者たちが鳴らすクラクションなど馬耳東風か。

週刊新潮 2023年9月28日号掲載

ワイド特集「盤外戦の行方」より

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