デーブ・スペクターがじっくり語る「ジャニーズ問題」 「正義感の群集心理は今でも気味が悪い」、「米国型システム導入は絶対無理」
イメージ戦略の失敗
他にも被害者補償を専門とする子会社を作る、ジュリー氏が株を保有しない別会社で所属タレントを一時的に雇用する……。ジャニーズは本気だと思わせる改革はいくらでもあったはずだが、それが打ち出されることはなかった。
結局、新社長に就任した東山氏のイメージも悪化した。本来であれば「火中の栗を拾った」と評価する声が出てもおかしくなかった。
だが「改革を率先して実施する」という印象には乏しく、挙げ句、会見では東山氏本人の性加害疑惑に関する質問も飛びだした。結果、X(旧Twitter)では「社長になりたいという野心しか感じなかった」といった批判が多数を占めた。
「もし東山さんが会見の冒頭で、『性被害の支援団体に寄付を行います。会社の資金を使うと原資は企業やテレビ局から得た収益ですから、企業やテレビ局が寄付することになってしまいます。それを防ぐため、ジャニー喜多川の遺産から寄付金を充当します』と発表したのなら、世論は高く評価したのではないでしょうか。『東山新社長は本気だ』という好意的な論調も増えたに違いありません」
「正義感の群集心理」
今回の問題では、ジャニーズ事務所だけでなく企業の動きも注視を浴びている。FNNプライムオンラインは9月21日、「“ジャニーズ離れ”が加速 『広告中止』が1週間で3倍…タレント起用した上場企業の約半数が『起用の見直し』」の記事を配信した。
記事では帝国データバンクの調査結果を紹介し、《9月20日時点で放映中のCMなどを「中止する」と表明した企業が、1週間前の13日から11社増加し、17社にのぼることがわかった》と伝えた。
まさに“ドミノ倒し”のように広告契約の見直しが連鎖しているが、デーブ氏は「9月7日の会見が失敗に終わったことが、企業の対応にも影響を与えました」と指摘する。
「以前からジャニー喜多川氏の性加害問題が指摘されていたことは、企業だって把握していたはずです。特に2003年7月、週刊文春の報道を巡る裁判で、東京高裁は性加害の真実性を認めました。それでも企業は、ジャニーズ事務所のタレントのCMへの起用を続け、売上の増加など様々なメリットを享受してきたのです。ところが、ジュリーさんが会見で性加害を認めると、右に倣えと相次いで契約見直しを発表しました。率直に言って『正義感の群集心理』であり、今でも気味が悪いと思っています」
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