スパイ摘発の協力者に最高1000万円 経済政策に行き詰った中国政府は先祖返りするしかない

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アジア大会でも見えた中国の光と影

 9月23日、中国・浙江省杭州市の競技場で第19回アジア競技大会の開会式が行われた。「水」をテーマに杭州の歴史と風景を讃えるこの盛大なセレモニーで、集まった8万人の観客は開会を宣言した習近平国家主席を熱烈に歓迎した。

 中国政府お得意の国威発揚の場になったかに見えるが、その内実は違うようだ。

 仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は9月22日、「
中国経済に暗雲が立ち込める中、政府が巨額を投じて競技場を建設したことに市民から批判の声が上がっている」と報じた。

 RFIによれば、杭州アジア大会開催に必要な会場、交通インフラなどの建設のために300億ドル以上の資金が投じられたことに対し、一般市民は「大会の豪華絢爛さはあくまで指導部の成果のためだ」と冷ややかな反応を示した。「大会に使うお金を庶民や若い人に使ってくれたらよかったのに。今は仕事を探すのも困難だ。特に若者は生活していくのが大変だ」との嘆き節も聞こえてきたという。

 経済が不調になれば、庶民の関心が自ずと日々の生活に集まるのは世の常だ。現在の中国経済は満身創痍の状態にあると言っても過言ではない。

小手先の政策では回復できない中国経済

 市況の悪化で不動産開発企業は資金不足に陥り、工事が中断されたままの建設現場が各地で目立っている。中国人の金融資産の7割超を占める不動産価格が下落し、将来への備えも失われつつある。

 中国政府が失業率の数字を公表しなくなったために直近の動向は明らかではないが、若年層(16~24歳)の雇用状況は悪化の一途を辿っていることだろう。

 中国政府は分配を重視する「共同富裕(共に豊かになる)」を政治スローガンに掲げているが、所得格差はむしろ拡大している。特に都市部の昨年の所得格差は、統計が確認できる1985年以降で最大になってしまった(9月4日付日本経済新聞)。

 そのせいだろうか、中国人の節約志向は日に日に強まるばかりだ。若者を中心に数十万人規模の倹約家が集うSNSが話題になる有様だという(9月7日付NNA)。

 国内外の専門家からは「中国政府は家計の消費を刺激するような需要喚起の政策を急げ」との声が一斉に上がっているが、中国政府は経済よりも安全保障を優先する姿勢を崩していない。2025年までに製造強国の仲間入りを目指す中国政府は、限られた予算を半導体の国産化など経済安全保障の分野に振り向けている。

 中国政府は不動産ローンの規制緩和などの措置に踏み切ったが、不動産市場は回復する兆しを見せていない。小手先の政策では長年抱えてきた矛盾が露呈した中国経済を回復させることはできないのだ。

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