「相棒」シーズン22が10月にスタート! いまだから明かせる「初代相棒のふたりが約束したこと」

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 警視庁の変人刑事・杉下右京のバディ役は、交代のたびに話題となってきた。プレシーズンからシーズン7までは亀山薫(寺脇康文)、シーズン7の最終回から10までは神戸尊(及川光博)、シーズン11から13までは甲斐享(成宮寛貴)、シーズン14から20までは冠城亘(反町隆史)と続いて、現在撮影中のシーズン22は初代の亀山薫が復帰して二つめのシーズンとなる。

「相棒」の基礎を築いたふたりの間で交わされた俳優同士の約束を、水谷が「こんなに自分の過去を振り返ろうとしたことは一度もなかった」と話す初めての著作『水谷豊 自伝』から抜粋して紹介する。

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 シーズン5の撮影が続く中、水谷は嬉しいニュースを聞いた。『相棒』を映画にするという企画が通り、抱いていた夢が現実のものになったのだ。

「寺脇とは、いつか『相棒』を映画にしよう、と話していたんです。それで、映画になるまではシーズンを引っ張ろうと思っていた。和泉(聖治)監督もやりたがっていたし、実現したのが、1作目になる『絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン』ですね」

 劇場版の公開は2008年5月と決まった。水谷の映画出演は83年の『逃がれの街』から途絶えていたので、実に25年振りになる。

「失敗する気はしなかったけど、たとえ失敗しても、チャレンジの結果ならいっそ清々しいでしょ。あのときやっておけばと後悔するのは嫌だった」

 プレシーズンから数えて9年目。寺脇もまた、劇場版を望んでいた。

〈失敗するかも、なんてことは全く感じなくて、映画化は当然のことだと思いました。誰か1人でも関係者に後ろ向きな人がいたらダメだったかもしれないけど、すべてのタイミングがピタッと合ったんだと思います。ずっと「相棒」を作ってきて、面白くなる感覚がわかっているし、映画が似合う作品だと思っていましたから(中略)もうその時でしょ!という感じでした〉(『オフィシャルガイドブック相棒─劇場版』)

 都内で開かれる大規模なマラソン大会を舞台にして、右京と薫が無差別テロに立ち向かうストーリー展開は脚本の戸田山雅司によるもので、いくつもの危機的状況が用意されている。

 なかでも右京と大学生の守村やよい(本仮屋ユイカ)が閉じ込められた倉庫の爆破シーンは迫力満点の仕上がりだ。炎を床に這わせるため、多量の火薬が使われている。

「僕が本仮屋さんを床下の穴に避難させた次の瞬間、炎の塊が飛んでくるんです。火薬を専門に扱うプロがスイッチを押すわけだけど、その前に僕も穴に飛び込んでいなければいけない。あのときは、かなりの熱と爆風を感じているんです。タイミングを間違ったら、髪の毛はないです。滅多に経験できないシーンでね。なんでしょね、あの瞬間の嬉しさは(笑)」

 危険な撮影なのでスタントマンも用意されていたが、水谷は自分で演じることを選んだ。なにしろアクションが好きなので、人任せにしたくないのだ。

「あの(松田)優作ちゃんから、『豊のアクションはアクションを超えている』と言われたのが、誇りです」

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