なぜネズミは太らない? コカインより依存度が高い「砂糖中毒」… 科学的な食欲抑制術をプロが解説!
ネコは「甘み」を感じない
例えば、コーヒーは苦くて本質的にはおいしいものとはいえないはずです。それでも人間は好んで飲みます。コーヒーを飲むとカフェインによって脳が活性化するからです。苦いけれども、コーヒーを飲めば「いいこと」が起きることをブロードマン10野が記憶する。この記憶によって、コーヒーは「苦い」=「まずい」けれども、「快楽を得られる」と判断して人間はコーヒーを愛飲するようになるのです。
一方、前頭葉が発達していないネズミは、彼らにとってまずいものは飲みも食べもしません。まずくてもそれを食べたらいいことが起きると記憶できないからです。
ちなみに、ネコは「甘味」を感じることができません。なぜなら、エネルギーの大部分を獲物の肉から得ていて、肉には甘味がほとんどないため、生きる上で甘味を感じ取る必要がないからです。
また、本来雑食であるパンダの主食は竹や笹で、肉をほとんど食べません。進化の過程でパンダは、肉に含まれる「うま味」を感じ取ることができなくなったからだと考えられています。
このように、食行動に必要のない味覚の遺伝子は失われてしまうことが多くの動物で確認されています。つまり、動物が生きていく過程で必要な味覚は研ぎ澄まされ、不要な味覚は鈍化し、消失する。味覚は動物の生存本能の表れともいえるわけです。
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