全英、全米オープン、マスターズ…ゴルフイベント「ボランティア」の魅力

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楽しい理由は大きく2つ

 海外では、全英、全米オープン、マスターズが地元ボランティアの人たちで運営される大会だ。マスターズは地元の軍人OBや、その家族が毎年参加している。中には「持ち場」を何年も譲らない人もいる。中継テレビのカメラに映るためだ。私は10回ほど現地取材に出かけたが、いつも同じ男がそこに立っていた。「彼、ちょっと太ったな」なんて思ったものである。

 全米オープンのボランティアたちは楽しく愉快である。夫婦で参加する家族もある。ノンギャラで4日間、ゴルフ場に通うわけだが楽しい理由は大きく2つあるようだ。記念のシャツが貰えることと、午前と午後に分かれていること。午前中に持ち場を担当すると午後はフリーとなり、ギャラリーとして観戦できる。仲間のグループごとの交代で、疲れず楽しめるようだ。

 同じことは全英オープンでもいえる。ここもスコアマーカー係やロープサイドのギャラリー整理はボランティアたちの仕事だ。やはりボランティアたちは記念シャツを貰い、交代で観戦するのが楽しいようで、毎回登録していた。タイガー・ウッズ効果で海外のギャラリーも増えたため、各国から5~6人ほどのボランティアを集めている。日本人やスペイン人、ドイツ人のボランティアもいる。特に医師のボランティアは大歓迎だとか。

 ほか、アメリカのグリーンズボロという地方では毎年大会が開催され、主催者側は大会半年前に各グループのリーダーを集めて食事をする。市民あげての恒例イベントというわけで、皆が顔見知りであり、ゴルフ仲間である。何が楽しいかと訊くと「無事に大会が終わった夜、皆んなでビールを呑むことだ」と話してくれた。

早瀬利之(はやせとしゆき)
作家。長崎生まれ。鹿児島大学剣道部出身。剣道5段。師範。旧陸軍戸山流居合愛好家。元アサヒゴルフ編集長。ゴルフと剣道関係作品に『ジャンボ―尾崎将司挫折と栄光の軌跡』『杉原輝雄もう一度勝ちたい』『気の剣―剣聖十段斎村五郎』『昭和武蔵・中倉清の生涯』。『タイガーモリと呼ばれた男』で第2回ミズノスポーツライター賞受賞。石原莞爾研究家。

デイリー新潮編集部

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