交際ゼロ日婚、性的関係を拒む妻に「俺を騙したのか」 不倫夫が抱いてしまう哀しき愛憎の根本原因
元カノと関係をもつように…
結婚して5年たったころ、学生時代に短期間つきあったことのある瑠璃さんとばったり再会した。彼女は離婚したばかりだと笑った。
「結婚なんてこりごりよと言う彼女と飲みに行ったら、すごく楽しかったんですよ。彼女、ベロベロに酔っていたので送っていったら、そういう関係になっちゃって。実はレスでさと正直に話してしまったんです。すると彼女、『恋人は重いけど、友だち以上恋人未満っていうのもいいかもね』って。それで彼女との関係が始まったんです」
つかず離れずで3年がたったころ、彼女から「ごめん、再婚するわ」と突然言われてフラれてしまった。
「妻を傷つけてはいけないと思って、ビクビクしながらつきあって。でも瑠璃とは性的な目的だけでつきあっていたわけじゃない。それは瑠璃もわかっていると思う。3年たつころには、離婚してほしいと言われていたんです。でもそれだけはできなかった。そうしたらフラれたんです。その後、共通の友人に聞いたら、瑠璃は再婚してないという。僕に愛想をつかしたのか、あるいは僕のためを思ってくれたのか、それはわからないけど。何やってるんだろうな、オレはと思いました」
そして、柊子さんはおそらく彼の裏切りを知っている。そんな気がすると亮輔さんは言った。だが彼女には負い目があるのだろう。だから責めるような発言はしない。
「瑠璃にフラれた直後、柊子が抱きしめてくれたことがあるんです。そのとき、僕は初めて母のことを話しました。聞き終わったとき、柊子は泣いていた。僕は聞いてもらって少しすっきりしたんだけど、彼女は『私もあなたを苦しめているのかもしれない』って。そんなことないよと言ったんだけど、彼女は寂しそうな顔をしていましたね」
このまま一緒にいたほうがいいのかどうか、わからないまままた数年がたった。彼にはまた、気になる女性ができつつある。いっそ、離婚したほうが妻のためなのか、あるいは自分がすべての欲望を断つしかないのか、あるいはごまかしつつこの生活を続けたほうがいいのか、彼にはわからなくなっているという。
柊子さんとは表面上、ごく普通に暮らしている。彼女の仕事での評価はさらに上がっているという。だが本当にこれでいいのか。亮輔さんの混沌とした思いは消えない。そして女性を愛しつつ憎んでしまう彼の心も、まだ解決されてはいないようだ。
前編【母親に無視された「お父さんに会いたい」の気持ち 幼少期の“連れ去り"が40歳男性にどんな悪影響を与えたか】からのつづき
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