SNS上では「静かな恐慌」という言葉が飛び交い…好調な米国経済を「張り子の虎」と呼ばざるを得ない理由

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SNS上で飛び交う言葉「静かな恐慌」

 悪材料が続出している米国経済だが、筆者が最も気にしているのは、好調な経済統計の陰で多くの米国人の暮らしが悪化の一途を辿っていることだ。

 SNS上では「サイレント・デプレッション(静かな恐慌)」という用語が飛び交うようになっている。生計の手段を失うのではないかとの不安に苛まれており、メンタルヘルス関連の支出 はうなぎ上りだ(9月14日付Forbes)。

 住宅価格高騰のせいでホームレスの数も急増している。かつては気ままな生活の象徴だったキャンピングカーやトレーラーハウスは社会問題を映す鏡になってしまった感が強い。

 都市の治安悪化のせいで米国の商業店舗は踏んだり蹴ったりの状況だ。万引きに加えて、強盗や放火の被害まで生じており、高級店を中心に店舗を閉鎖する動きが広まっている。

 昔から言われていることだが、社会の安定なくして経済の繁栄はない。足元の米国経済の好調は「張り子の虎」に過ぎないのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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