食と健康のプロ「漢方薬剤師」が、たとえ栄養が偏っても「ラーメン禁止」とは言わない深い理由

国内 社会

  • ブックマーク

幸せと思えるような食べ方をしてほしい

 また、この季節は“夏野菜”もおいしいわけだが、

「ナスは“揚げナス”に象徴されるように、とにかく油を吸います。ナスを炒めたり、揚げたりするのであればサラダ油を避けて、オリーブオイルを使ってほしいところ。油のなかではココナッツオイルが一押しです。何といっても、ココナッツオイルは摂ってすぐエネルギーになってくれるので疲労時に即効性があり、加熱して調理にも使えます。他にも、夏場にビールのお供になることが多い枝豆は、タンパク質も食物繊維も摂れます」

 愛先生は食事には3種類の目的があると指摘する。それはコミュニケーション、幸福度、健康の3つだ。そして、「食事のなかでどれか1つでも目的が達成されればいい」という。いずれも人生の彩りを豊かにしてくれるものだ。

「栄養面だけを見れば、ラーメンの場合、ある意味で健康を犠牲にして食べているわけです。それでも食べるのなら、行列に並んで、貴重なラーメンを食べる機会に恵まれた幸せを噛み締め、“よかった”“おいしかった”“幸せ”と思えるような食べ方をしてほしい。牛丼などのファストフードを食べるときにも、なるべくベターな選択をしてもらいたいです。“うまい・安い・早い”にもうひとつ要素を加えて、たとえばサラダで食物繊維を補うようなチョイスをする。それを心掛けるだけで、健康になる確率は高まっていくんです」

いいものを意図的に選択する

 大事なのは意識の持ち方に他ならない。つまり、食事を“何気なく”済ませないということだ。

「私たちはあと何十年も生きていかなければなりません。そして、生きていく上で、常に食べ物の選択にぶつかり、多くの人は基準がわからないまま日々の食事を選んでいます。たまたま体に悪いものを選ぶことが多かった人は生活習慣病になりがち。反対に、たまたま体にいいものを選んでいた人たちは健康的。私が言いたいのは、その選択を“意図的にしましょう”ということです。コンセプトを持たずに食事を続けていたら、後になって困るのは自分自身ですから。夏は体が疲れやすいので、“今日はすごく紫外線を浴びたから、少し色のついた野菜を食べておこう”と考えて、意識的に紫蘇やミョウガ、トマト、オクラなどを摂るようにする。ラーメンを食べるなら“摂取しているのは脂質と糖質の2種類だけで、栄養素が足りてないな”と気づいてほしいんです」

次ページ:体によくておいしいものを

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。