ジャニーズ問題でテレビ局が何だか煮え切らない態度を取っているワケ
各局で出演タレント見直し
実際、花王の1社提供の番組である「A-Studio+」(TBS)では、10月放送回のSexy Zone・中島健人(29)の収録がキャンセルされたと報じられた。花王は《現在展開しているジャニーズ事務所所属タレントを起用した広告・販促物等の展開は、可及的速やかに中止いたします》と発表している。
「TBSは『収録の中止ではなく延期』と答えていますが、どうなりますか。もともと『A-Studio』はMCの笑福亭鶴瓶さん(71)と1年交代でアシスタントを務める女性タレントが、ゲストの素顔に迫るという番組です。ところが、2020年4月から女性アシスタントが廃止され、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔(36)が鶴瓶さんと並ぶMCに就任したことで、番組タイトルは『A-Studio+』にリニューアル。以来、ジャニーズのタレントがゲスト出演することが増えました。今回、中島のゲスト出演がキャンセルされたのは、花王の意向を汲んでTBSが判断したのでしょう。とはいえ、そもそもMCに藤ヶ谷を起用しているのですから、こちらもこのままにはできないと思いますね。早ければ12月いっぱい、遅くとも来年3月いっぱいで、“番組卒業”という体で藤ヶ谷を降板させると見られています」
ジャニーズのタレントがMCを務める番組は、これでもかと言うほどある。
「そのためテレビ局は、各番組の出演タレントを見直す対応に追われています。とはいえ、ジャニーズ事務所の謝罪会見が行われた9月7日というのは、タイミングが悪かった」
どういうことだろうか。
10月改編期
「9月中旬から10月にかけては期末期首のため、大型の特別番組が数多く編成されています。すでに番組は収録済みで、放送を控えている状態のものもある。また10月スタートの新番組は、MCはもちろんゲストも確定済みで、初回から数回分まで収録が終わっている番組も少なくない。そんな中、番組を収録し直したりすることは不可能なんです」
10期改編説明会で言及されたジャニーズ所属タレントに関する各局のコメントは以下の通りだ(括弧内は説明会が行われた日付)。
TBS(8月31日):タレント個人が起こした問題ではないので、バラエティーやドラマに関しては、出演はこれまで通り続けていく。
フジテレビ(9月4日):タレントに問題があったわけではないので、これまで通りキャスティングする。
テレビ朝日(9月13日):現時点で確認できている範囲では影響はない。
日本テレビ(9月14日):現状のところでは、出演者に関する起用の方針に変更の予定はありません。ただ、(事務所の)対応を注視していきたいと考えております。
テレビ東京(9月15日):既存番組の出演者など契約済みのタレント起用を除き、10月の新体制発足で具体的な成果を得られたと確認できるまでは、ジャニーズ事務所への新規の出演依頼は極めて慎重に判断する方針です。
「TBSとフジの説明会は、ジャニーズの謝罪会見よりも前に行われました。ですから、今の状況とは異なるため、強気とも思える見解を述べています。会見後は『タレント個人が起こした問題ではない』といった発言はなくなったものの、各局の方針に大きな変化は見られませんでした。それゆえ『テレビ局は性加害問題を真摯に受け止めていない。ジャニーズに忖度している』との厳しい声が届いているわけですが、この改編期の真っ只中、そう簡単には出演タレントを変えようにも変えられないというのが本音です」
だが、スポンサーが離れてしまっては元も子もない。
「民放はスポンサー優先のため、大手スポンサーの意向や要望を強く受け止めなければなりません。どこかのテレビ局が、ジャニーズ所属タレントの出演中止に口火を切った場合、他の局も追随することになるかもしれません」
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