逸見政孝さん「がん告白」会見から30年 長男・太郎さんの告白「ザ・昭和の頑固オヤジでした」、13億円と報じられた大豪邸その後
「死んだら終わり」
太郎:僕は売却したほうがいいと言ったんですけどね。母も一時はそうしようと考えたようですけど、結局、父が遺した家を守ろうと決めた。父の車など売れるものは全部売って、母は講演活動や出版など働き続けたんです。「講演について行こうか」と言っても、交通費が余計にかかるからと断られました。働き詰めだった母は2010年に亡くなりましたが、その時の生命保険でほぼ完済したんです。
――その家には今も住んでいる。
太郎:二世帯住宅に改装して、僕と妻と息子、そして妹が暮らしています。建物を壊そうと思っても頑丈すぎていて簡単には壊せないんですよ。固定資産税だけでも大変です。さすがに、息子に渡す頃には、もう売ってもいいでしょと思っていますけど。父は家を建てて亡くなり、母はその借金を完済して亡くなった。2人とも悔しかったんじゃないでしょうか。
――両親とも孫(現在4歳)の顔を見ることは適わなかった。
太郎:息子に会わせたかったですね。僕は若い頃に両親を亡くしましたけど、やっぱり親は元気でないと。母は「死んだら終わり」とよく言っていましたがその通りで、たとえお金がなくても、息子のために健康でいないと。生きていれば、楽しいことはいっぱいありますから。
――太郎氏は大学卒業後に帰国し、北野武監督の映画「HANA-BI」(98年公開)で俳優デビュー、ドラマにも出演した。その後はMCとして「5時に夢中!」(TOKYO MX)などで活躍した。現在はCS放送の不定期番組「緊急検証!」(ファミリー劇場)にメインMCとして出演している。
太郎:俳優の仕事は自分には向いていないと、現場に入ってみて感じました。MCとして生放送を経験してしまうと、放送時間でピタリと終わるでしょう。自分にはそちらのほうが性に合っていたようです。今はCS放送の仕事がポツポツある程度で、レギュラーはないですね。
――今後の目標はあるのだろうか。
太郎:息子をきっかけに幼児教育に携わるようになり、将来に向けて準備中です。未来の子供たちに提供できたらと。仕事人間だった父とは、僕はキャッチボールをした記憶すらないんです。父との時間をシェアした思い出がない。芸能人としての父は凄かったと思いますが、僕はそれよりも家族との絆を大切にしたいと思っています。