「人にとっては新作展でも自分からすると旧作展」 横尾忠則が語る絵を描き終わった後の心境
一昨年の暮から描き始めて、今年の1月にやっと完成した百点の「寒山百得」展が、9月12日から東京国立博物館の表慶館で開催されています。ほぼ一年間描き続けた絵で、こんなしんどいことに取り組んだのは後にも先きにもありません。86歳から始めて、87歳まで、およそ不可能なことに挑戦してみようとほんとに馬鹿なことをしたものです。
中国の唐の時代、国清寺というお寺に寒山と拾得という風狂の僧がいました。髪は伸び放題、ボロ切れのような僧衣を身にまとって、いつも気味の悪い笑いを浮かべた近寄り難い人物で、寒山は、手に巻き物を、拾得は箒を持って、用もなくうろついています。...