自民党への献金額が大きい団体トップ5をチェック 新しい団体を作って圧力をかけるなら何がいい?(中川淳一郎)

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 政治家や政党に多額の政治献金をする団体って、「まっ、われわれの団体を優遇してくださいね。わかりますよね。あと、われわれを優遇しないと票を入れてあげないですよ」という心づもりがあるわけです。今回は、どんな団体が意外と力を持てるか、について考えてみたい。

 まず、2022年9月26日に会社四季報の電子版に掲載された「自民党(国民政治協会)への献金額が大きい業界団体・宗教団体・政治団体ランキング」によるとトップ5は1位・日本医師連盟(2億円)、2位・自由社会を守る国民会議(8800万円)、3位・日本自動車工業会(8千万円)、4位・日本電機工業会(7700万円)、5位・日本鉄鋼連盟(6千万円)となっています。

 この並び、なんとなくわかりますよね。医療報酬を増やせだの、自民党は保守派たれ、産業を後押ししてくれ、的団体が並びます。どれも昔からある伝統的な組織ですが、これから新しい団体を作って自民党に圧力をかけるとなると何があるか。完全に妄想なので、政治資金規正法に沿ってなくともご容赦を。本当に団体ができた時に、同法に詳しい弁護士に活動内容は精査してもらいます。

 まずは「アニメ・漫画・キャラクター連合会」はいかがでしょうか。何しろ著作権を守りたい作家や出版社、各種権利保有者からすれば、法律で権利侵害を厳罰に処してくれればありがたい。「絵師」も含め当事者は全国に数十万人規模でいるのでは。ファンも含めれば数千万人になる高いポテンシャルを持った団体です。

 ここからの分化団体として成立しそうなのが「ポケモンGO愛好会」。2020年1月段階で440万人のユーザーがいたと推計されていましたが、今でもヘビーに遊んでいるユーザーは遠距離のイベントに参加することも多い。となると「年〇回以上国内の長距離旅行をする場合は『Go To トラベル』的補助をするように!」などの要求もできる。これには「シニアの散歩が増え、このゲームをすることで健康にもつながる」という名目もある。同アプリは2022年、海外における日本のスマホゲームで売り上げNo.1の5.7億ドル! インバウンド客も使うため、宿泊施設もこの団体に入ってくれるかもしれない。

 他に考えられる団体は、「日本酒飲み会」。とにかく酒税の減税という一点だけを求める団体で、議員の政治資金パーティーに積極的に参加してくれる。何しろ酒を飲むのが好きなので、パーティーに参加することは厭わない。しかも団体の会費や酒造会社からの献金があるため、予算は潤沢で政治資金を拠出できる。「左党議連」を設立させ、酒税減税に取り組んでもらうよう圧力をかける。

 キャラクターの話に戻りますが、私はガチャピンが好きです。そこで「全国ガチャピン愛好会」というのを組織したらどうでしょう。ポケモンのような大人数にはならない上に、公共的な存在意義が見つからないので難しいか。せいぜい「シマシマの服を積極的に着る」「出っ歯の矯正費用補助主張」「黄緑・ピンク・黄色の三色を公的機関は旗やパンフレットに使うことを義務化する」程度。やっぱそんな圧力団体、作れねぇ~。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2023年9月21日号掲載

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