初動のまずさが際立った東山紀之社長 キムタクや櫻井翔にも共通する「ジャニーイズム」の負の遺産

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少年ぽさ至上主義のジャニーズ文化の功罪 被害者だけではないジャニー喜多川氏の残した負の遺産

 弱い立場への共感性のなさという点では、会見での東山さんの態度がより印象的だった。ジャニー氏の性加害を受けたことで優遇されることがあったかという質問のくだりだ。井ノ原さんと共に、芸の努力あってのセンターポジションということは言いつつも、現役時代はやはり待遇差に悩んだこともあるという井ノ原さんに対し、「それは若さ故の嫉妬であるとか知恵のなさ」と即座に否定していた。

 意図的なのかもしれないが、東山さんは「ファン」という言葉を繰り返し使った。自分を含め、タレントを目立つ位置に選んだのはジャニー氏ではなくファンだというようにも聞こえる。デビューやセンターをつかめないのは、ファンに伝わるだけの努力や熱量を見せていないから。タレント自身の努力不足と言いたいかのようにも受け取れる。

 それは事務所を退所したタレントにも向けられている。「辞めジャニ」への忖度や圧力は不必要かという質問に対する、「ファンの人たちがいてこそなので」という返答は、ちゃんと熱心なファンがいるなら出演できるでしょ、と暗に含んでいるように受け取られるのではないか。

 いまだ少年のようなナルシシズムに満ちた大人になりきれないスターたちを生んでしまったのも、ジャニー氏の負の遺産と呼べるのかもしれない。今はずいぶん変わってきたとはいえ、ジャニー氏存命時代のショーは、衣装や表情の作り方ひとつとっても、未成熟な少年ぽさが全面に押し出されていた。社名変更の示唆もあったが、在籍組の看板タレントたちの炎上の根幹に、ジャニー氏の影響の大きさと罪深さを思い知らされた。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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