処理水問題で韓国野党のから騒ぎ 〈日本産マグロ不使用〉の店が出現も…放射能検出に関するニュースが消えた事情
与党は“安全”を強調も…
韓悳洙(ハン・ドクス)首相は8月24日、対国民談話の発表で「科学的基準と国際的な手続きによって処理され放流されれば、今の状況で、国民が過度に心配する必要はないことが全世界の科学専門家の共通した意見」「政府を信じ、科学を信じてほしい」と語った。同首相は「日本産水産物に対する輸入規制措置を堅固に維持する」と強調した。
保守与党である「国民の力」も9月8日、国会で国内水産物消費促進に向けた広報イベントに出席し、野党の汚染水攻勢を“怪談”と規定して「安全だという確信をもって水産物を利用してほしい」と要求した。
だが、左派野党は、処理水の放流を利用した政治攻勢を緩めていない。一部の自営業者や流通会社では、日本産水産物を扱わないなど、野党の意に沿う行動を実践している。そのため、一部の水産業者の間では「環境汚染と国民の健康を心配するふりをしているが、実は政治利用するために恐怖心理をあおる行動は、むしろ消費や売上に弊害になる」と指摘が出ている。
むしろ水産物売り上げは増加
もっとも、一時こそ日本産水産物の不買運動に発展する兆しが見えたが、8月末から9月に入り、その雰囲気は消えつつある。
韓国政府は8月28日、福島処理水の放流直後、国内の海産物に対する放射能数値調査を行ったが、異常がないと発表した。9月8日にも放射能が検出された水産物がないと繰り返し明らかにした。また、江原道は8月24日から9月10日まで、済州島は9月1日から7日まで地域内の水産物に対する放射能検査を実施した。その結果、まったく問題がなかったという。さらに、左派野党支持地域である全羅南道順天市も、地域内の水産物に対する安全性検査の結果、放射能物質が検出されなかったと発表した。それ以降、放射能の検出に関するニュースはほとんど聞こえてこない。
むしろ国内の水産物売上は伸びたこともわかった。韓国政府は8月24日から29日まで、大型スーパー3社の水産物売上高が、処理水放流直前の8月17日から23日の売上高よりも103%増えたと発表した。首都圏最大規模の水産物卸売市場「鷺梁津(ノリャンジン)水産市場」も同様。8月24日から30日までのクレジットカード決済による売上高は、8月17日から23日より48.6%増えたという。日本産水産物だけではないが、処理水の放出は水産物の流通量に影響を与えなかったことがわかる。
韓国人の日本旅行に対する人気も落ちていない。韓国の仲秋節である秋夕連休(9月28日~10月3日)を控え、大手旅行会社「ハナツアー」の調査結果、同期間の海外旅行予約者は1位が日本23%、2位がベトナム19.4%、3位はヨーロッパ13.8%だという。また、別の大手旅行会社「黄色い風船」の秋夕連休海外旅行予約調査結果も同様に、1位は東京(31.7%)、ベトナム(31%)が31%で2位に、3位は17.5%の西欧だった。