強制捜査直前に秘書が“証拠隠滅”、議員の後援会名簿を盗んだことも… 再エネ汚職の秋本真利容疑者の知られざる過去

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後援会名簿を盗み「相当詰められた」

 かくして、塀の中へ転落せんとしている秋本容疑者は千葉9区、つまり佐倉市や四街道市などを地盤とする。政界に入ったきっかけは、千葉の衆院議員だった実川幸夫氏(79)の事務所に若くして入ったことだった。

 地元市議が証言する。

「彼は実川事務所の秘書という名刺は持っていたけど、秘書でもなんでもなくて、ただの運転手だったんですよ。もともと運転がうまいからと採用されただけでした。その事務所を辞めて富里市議に当選した時、ある“問題”を起こしましてね」

 市議に初当選するのは03年4月のこと。

「事務所を辞める時に、同じく事務所の秘書で、現在は自民党千葉県議の高橋祐子とともに後援会名簿を盗んだんです。そして、その名簿をもとに選挙活動を行い、富里市議に当選した。祐子は実川事務所で名簿管理をしていたので、実川さんの奥さんから相当詰められ、実川事務所を辞めることになりました」(同)

 秋本容疑者より15歳年上の高橋氏は第92代警視総監である高橋清孝氏の妹で、独身だと周囲に語る秋本容疑者とはいまに至るまで「男女の関係」にあると地元ではみられていた。

「アイツの選挙になれば祐子はお茶くみや会計など何から何まで、世話をして回ります。まるで女房のようなんです」(同)

“上にペコペコ、下には粗暴”

 彼女を利用して富里市議に当選後、秋本容疑者はある人物との運命的な出会いを果たす。「アニキ」と慕うことになる河野太郎デジタル相だ。

 秋本容疑者の著書によれば、市議時代に通っていた法政大学大学院へ講師として訪れたのが河野氏だった。その講座で河野氏が「核燃料サイクルとプルサーマルの違い」を質問すると、秋本容疑者は挙手してスラスラと回答。驚いた河野氏に「国会議員になれよ」と声をかけられ、12年の衆院選で初当選を果たした、とある。当時、河野氏は党関係者に秋本容疑者を猛烈プッシュし、選挙では10回以上も応援に入ったという。

「確かに初選挙で河野さんが応援に入ってはいましたが……」

 とため息をつくのは、秋本容疑者の支援者のひとり。

「実際には千葉県連の幹部が根回しして出馬にこぎ着けたので、河野さんがプッシュしたという話はうそですよ。しかも、初めての国政選挙で秋本のスタッフへの扱いは本当にひどく、選挙事務所の大勢人がいる前で、あるスタッフに椅子を蹴飛ばしながら“何やってるんだ、バカヤロー!”と怒鳴りつけた。アイツの特徴は“上にペコペコ、下には粗暴”なんです」

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