強制捜査直前に秘書が“証拠隠滅”、議員の後援会名簿を盗んだことも… 再エネ汚職の秋本真利容疑者の知られざる過去

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 内閣改造を終え、岸田内閣の面々が高揚感に包まれる一方で、来秋の自民党総裁選に臨む、「ポスト岸田」の動向に暗雲が垂れ込めている。“再エネ汚職”で逮捕されたのは、筆頭候補・河野太郎デジタル相(60)の最側近。10年以上にわたるその歪(いびつ)な関係性をひもとくと……。

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 強烈な日差しが照りつけ、最高気温が35度を超える猛暑日となった今年7月29日のことである。

 土曜日だったこの日、東京・永田町に立つ衆議院第一議員会館は、外気とは対照的にひんやりとした空気が流れ、人気もなく、ひっそりと静まり返っていた。

 平日と打って変わった静けさの中、その12階でうごめくひとりの女性の姿があった。同階の一室に事務所を構え、後に東京地検特捜部に逮捕されることになる衆院議員、秋本真利容疑者(48)の秘書である。彼女は人目を気にしながら、長時間にわたり、溢れかえるほどの大量の書類を同フロアのごみ箱へと捨てていた。その書類の中にはこんなタイトルのファイルが含まれていたという。

「青森洋上風力事業」――。

 秋本事務所のスタッフは8月3日にも大量の書類を廃棄。その翌日の4日に東京地検特捜部が秋本容疑者の事務所へ強制捜査に入った。このガサ入れを経て、今月7日、秋本容疑者は地検特捜部により、受託収賄の容疑で逮捕される。

“謝礼”という形で国会質問を

 社会部記者が解説する。

「秋本容疑者は洋上風力発電事業を手掛ける日本風力開発(日風開)の塚脇正幸前社長から約6146万円の賄賂を受け取ったとされています。塚脇前社長とは共同で馬主組合を設立しており、賄賂は馬の購入費などの関連費用として渡されていました。そして、賄賂の実質的な“謝礼”という形で、同社の事業に有利になるような国会質問を行っていたのです」

 その一つが青森県・陸奥湾での風力発電事業に関するものだ。日風開はかねて陸奥湾で環境影響評価(アセスメント)を実施し、同海域で事業を展開しようとしてきた。しかし、青森県が防衛関連施設への影響等を考慮し、消極的な姿勢を見せると、秋本容疑者は2019年、国会質問で「過度な規制をかければ国益を損ねる」と迫り、結局、この海域は事業対象地域に選定されることになった。

 廃棄された資料はこの海域に関わるものだったのか。捜査を予期して重要書類を処分したのならば、証拠隠滅以外の何物でもあるまい。

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