【レスリング】“卵一つ”で東京五輪を逃した男、樋口黎が難題を乗り越え「パリ五輪内定第1号」

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東京王者の乙黒は敗退・棄権で国別枠も取れず

 一方、その樋口を減量苦に追い込んだ「張本人」ともいえる存在の乙黒は、今大会、3日目からフリースタイル65キロ級に登場。2回戦でハンガリーの選手にフォール負けを喫し、傷めていた足を再び悪化させた。

 ハンガリー選手が決勝に勝ち進んだため、敗者復活戦に出る資格は得たものの、乙黒の足は回復せず、ついに負傷棄権してしまった。

 これでフリースタイル65キロ級のパリ五輪代表選考は振出しに戻り、東京五輪王者の乙黒も12月の全日本選手権からの出直しとなった。それだけでなく、乙黒が5位以内に入れなかったため、この階級での国別の参加資格枠も獲得できなかった。これは来年春のアジア選手権まで持ち越されることになる。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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