「79歳が100歳代を犯した」高齢者施設事件、容疑者の素顔を知人が証言 「アパートの部屋でまきストーブをたいて、家賃も払わない」「完全な認知症で、家に入ってきた」

国内 社会

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「部屋でまきストーブをたいて…」

 独り身となった佐藤容疑者は3年前までは、町内にある古いアパートの一室で一人暮らしをしていた。大家の親族が言う。

「佐藤さんが住んでいたのは6畳程度の部屋です。家賃は2万~3万円でした。ここには十数年前に転居してきて、当時から生活保護を受給していました。部屋でまきストーブをたいたり、迷惑な人でね。家賃も支払わなくなったので、退去してもらいました」

 部屋を追い出された佐藤容疑者が向かった先は、町営のアパートだった。住民が明かす。

「もう完全な認知症でさ。俺が鍵開けたまま、家空けて出かけるでしょ。帰って来たら、家の中に佐藤さんが突っ立ってんの。ギョッとしたよ。家事もできないから、ヘルパーさんが度々お手伝いに来てた。“俺の悪口を言ったろ”と住民に難癖をつけたりもするので、みんなで町役場に要望を出して、施設に入れられたってワケだ」

前頭葉の萎縮で

 その施設を運営するJAの担当者に管理態勢を尋ねると、

「全室個室ですが、監禁になってしまうので、外から鍵はかけられません。また、監視カメラも『ドライブレコーダー』のようなもので、入居者の安全を常に見守るものではなかった」

 管理態勢の甘さが事件の遠因だったと認めるのだ。

 高齢者専門の精神科医の和田秀樹氏は、

「高齢や認知症になり、脳の前頭葉が萎縮すると、衝動のコントロールができなくなる。そのために思いがけず、ひどいことをしてしまう可能性があります」

 としたうえで、

「国は高齢者施設の安全を確保するためにも、そこで働く介護職員を増やすべく、待遇改善を行った方がいいのでは」

 と警鐘を鳴らす。今回の事件は、超高齢社会の“不都合な真実”を白日の下にさらした。

週刊新潮 2023年9月21日号掲載

ワイド特集「我ら役者は影法師」より

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