京アニ事件、青葉被告の無罪を主張する“手練れ”弁護士の過去 親族は「100%死刑だと思っている」

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無罪確定の4カ月後…

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「遠山弁護士といえば、08年に起きた京都・舞鶴女子高生殺害事件でしょう」(同)

 遠山弁護士は当時、女子高生を殺した疑いで事件の被告となった中勝美(60)=逮捕当時=の弁護を担当。こちらも一審の有罪判決を覆し、12年に大阪高裁で逆転無罪判決をもぎとった。14年には最高裁が検察側の上告を棄却して無罪が確定するのだが、話はそこから忌むべき展開を見せた。

「無罪確定から4カ月後、中は大阪市内で女性を刺して重傷を負わせ、殺人未遂の罪に問われたのです。16年に大阪地裁で懲役16年の実刑判決を受けて大阪刑務所に収監され、その年に67歳で獄中死しました」

 果たして、中被告を無罪にしたのは正しかったのか。この件の顛末を知るにつけ、練達を自任する遠山弁護士の手法には大いなる疑念を抱かざるを得ない。

「闇の人物」は苦肉の方便か

 だがしかし、遠山弁護士の信念に揺るぎはないようだ。京都大学法学部在学中に司法試験合格を果たした俊英は、かつてインタビューでこう語っている。

〈(父親は)君が代と日の丸が大嫌いで、いろいろ運動していました。(中略)小さいときの教育というか雰囲気が、私を反体制派に固めたんでしょうね〉

 父親直伝の反国家、反権力志向の持ち主だという自負。ともすれば法廷は、己が思想を成就させる舞台になりがちなのかもしれない。

 この点、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長の高橋正人弁護士は、

「この裁判は殺害の事実を認めている以上、弁護人としては“責任能力がない”と言うほかないのでしょう」

 と喝破して続ける。

「弁護人が冒頭陳述で闇の人物なる架空の存在を持ち出したと聞いて、1999年の山口県光市母子殺害事件を思い出しました。事件当時少年だった死刑囚(42)は差戻控訴審で“押し入れにドラえもんがいると信じていた。4次元ポケットで(殺害した被害者を)何とかしてくれると思った”などと主張しましたが、“闇の人物”という弁解はそれと似ている。社会常識からかけ離れたことを言えば責任能力がないと判断されるとの意図かもしれないが、裁判員は相手にしないのではないか」

 苦肉の方便だというわけである。前出の遺族が遺影を見やりながら語った。

「あれを見てやってください。寂しい限りです。親は子供に先立たれるのが一番辛い。19年7月18日の、あの事件のほんの1時間前にでも帰れたら……。子供(遺影)に向かって毎日話しかけています」

 体制に、国家に異を唱えるために闘う弁護士に、この遺族の言葉は届くか。

週刊新潮 2023年9月21日号掲載

ワイド特集「我ら役者は影法師」より

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