立浪監督“バンテリン人脈”で「ホームランテラス」導入の現実味 名古屋財界“後ろ盾”に「延命工作」の声

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立浪監督は興和の幹部と昵懇の仲

 日本球界では近年、楽天モバイルパーク宮城、福岡PayPayドーム、ZOZOマリンスタジアムでもテラス席を増設し、ホームランを増やしていった。ただ、15年に導入したヤフオクドームは数億円の費用がかかった。現在は建築資材の高騰などで、バンテリンドームでは改修費は一層、高額になりそうだ。

 さらに、バンテリンドームではコンサートなどオフには野球以外の多くのイベントが開催される。テラス席がイベントに支障を来すことも障壁になってきたとされる。

 難色を示してきたバンテリンドーム側を切り崩そうと、立浪監督はドームのネーミングライツ(命名権)を保有し、強い影響力を持つ興和(本社=名古屋市)の人脈を駆使していくとみるのは、さる中日OBだ。

「命名権契約は25年までで、期限が近づいている。年間数億円規模と言われ、ドーム側としては満了後も契約してもらいたい事情がある。そこに監督が昵懇な仲の幹部がいる興和に、テラス席の導入を働きかけるようお願いするのではないか」

 それにしても、チームの打率が上がっても勝率が上がるとは限らないテラス席に、なぜ立浪監督は固執するのか。同OBは二つの理由を挙げた。

立浪監督の采配に“高評価”のワケ

 一つ目はこうだ。

「監督が打者出身であること。投手がテラス席に反対する中で、どうしても打者目線で考える。就任時に『打つ方は何とかする』と言って一向に結果が出なかった。球場を狭くして何とかしようという苦肉の策ではないか」

 そして、もう一つこそが真の狙いではないかという。

「今季はチームが低迷しても観客動員は好調だった。選手年俸は、若手中心に起用したことで、オフの契約更改では抑えられそうだ。本社(中日新聞社)の考えは、チーム成績は二の次で、収支が最優先。(大島宇一郎)オーナーや(吉川克也)球団社長は監督の采配による貢献度を高く評価し、来季続投は早々と決まっていた。監督もそれを分かっているようで、ホームランが増えることで観客動員を高いまま維持したり、あわよくば伸ばせたりすれば、チーム成績が不振でも(契約が切れる)来年オフの契約延長が望めると考えているのではないか」(チーム関係者)

 立浪監督は、地元財界と太いパイプを持っていた星野仙一元監督を手本にしてきた。グラウンド内の采配は拙くても、グラウンド外では如才なく立ち回ろうとしているようだ。名古屋の財界を後ろ盾に、テラス席の導入で自身の延命につなげられるのか。昨オフのような大型トレードに打って出るかどうかを含め、中日は今オフも指揮官の動向に注目が集まりそうだ。

デイリー新潮編集部

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