立浪監督“バンテリン人脈”で「ホームランテラス」導入の現実味 名古屋財界“後ろ盾”に「延命工作」の声

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投手陣犠牲の「もろ刃の剣」に元監督は反対

 プロ野球中日の本拠地バンテリンドームナゴヤに、来季から外野にテラス席を導入する議論が再燃しそうな気配がある。チームは長年、打線が低調だっただけに、かねて立浪和義監督(54)はホームランの増加が見込めるテラス席の設置を熱望してきた。これまで再三、浮上しては立ち消えになったテラス席に関し、複数の球団関係者によると、3年契約の3年目の来季続投が決まった立浪監督は今オフの実現に並々ならぬ意欲を示し、あらゆる手を尽くす覚悟だという。その裏にある思惑を探ると――。

 中日は今季も貧打にあえぐ。9月17日現在でチーム打率はリーグ最低の2割3分7厘、ホームランは64本で、159本でトップの巨人の半分にも満たない。投手陣に関してはリーグ2位のチーム防御率3.12と健闘。野手が投手の足を引っ張っている構図であることは否めない。

 昨季終盤には立浪監督がテラス席導入の希望を公言した。チームには細川成也、石川昂弥ら球場が狭くなれば30本塁打以上を期待できる打者がいる。最もホームランが出やすい球場の一つとされる横浜スタジアムを本拠地とするDeNAで、次々に強打者が育ってきた歴史を振り返っても、球場の大きさが強打者育成の成否に結び付いていると言っても過言ではない。

 一方でテラス席は敵チームの打線にも恩恵を与える。中日は強力投手陣を看板にしてきた。逆の論理で、好投手が続々と台頭してきたが、その屋台骨が揺らぎかねないことも確かだ。

 中日にとってテラス席は、結果的に得るものより失うものが大きくなることもあり得る「もろ刃の剣」である。今年6月、強力投手陣と固いセンターラインを中心とした野球で中日の黄金時代を築いた落合博満元監督はNHKの番組でテラス席導入に反対した上で、自前での強打者育成か外国人打者の補強に注力すべきと主張した。

ノムさんの理想は「1-0」

「落合さんは(2011年に)チーム打率、得点ともにリーグ最低の成績で優勝に導いた。球場の狭い、広いは勝敗においては言い訳にはならないということだろう。広いなら広いなりの戦い方があり、その逆もしかり。立浪が球場に合った野球ができていないのなら、球場の広さが変わってもチームが勝てないことは変わらないのではないか」と元NPB球団監督の言葉は辛辣だ。

 日本ハムが札幌ドームから新球場エスコンフィールドHOKKAIDOに移転した今、バンテリンドームはNPBで最もホームランが出づらい球場になった。ヤクルトなどで指揮を執った故野村克也氏は生前、1-0での勝利を「理想」に掲げていた。

「確かに手に汗握るような1点の攻防は目の肥えたファンには見応えがあるものの、球場の広さを理由にこのスコアが多発すれば、ありがたみはなく、「投手戦」ではなく「貧打戦」に映ってしまう。メジャーでも基本的には“投高打低”の傾向が強くなると、点が入るようにルールを手直ししてきた歴史がある。野球は点取りゲームだから、試合展開をスリリングにしてファンを呼び込むことを目指すというなら(バンテリンドームに)テラス席を設けることは賛成できる」(同元監督)

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