「あなたの妻は男性秘書とデキています」 ある日、突然届いた怪文書に49歳夫が思ったこと

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とつぜん届いた“怪文書”

 1年半ほど前、彼の会社に送り主のない手紙が届いた。玲佳さんは浮気しているという情報だった。しかも、会社の若い男性秘書とできている、それだけではなく他にも男がいると妙に詳しく書いてあった。

「それを読んだとき、嫉妬も起こらないことに気づいて、それが悲しかったんですよね。僕らはもう長い間、レスでした。彼女は仕事ばかりしているから、そういうこともしたくないんだと思っていたら、外でしているという。なあんだ、と思いました。例のケイちゃんとは続いていたので、僕はそれほど罪悪感を覚えなくてもいいのかもしれないとも感じたのを覚えています」

 ふと思ったのは、こんな結婚生活はおかしいだろうということだった。当時は、離婚しなければいけない理由があるわけでもなかったが、心の中ではケイさんの存在感がだんだん大きくなっているのを感じてもいた。

「ケイちゃんは会社員なんだけど、学生ローン返済のために夜はバイトという生活を送っていました。今、32歳です。つましく暮らしていたから、ときどきおいしいものをごちそうしていたら、お互いに本気になってしまって。どんなときもそっと寄り添ってくれるケイちゃんが愛おしくてたまらなくなったんです」

お互いに息抜きしながら

 彼は、いつしか17歳年下のケイさんのバイトがない日には泊まりに行くようになっていた。ある週末、土曜日にケイさんと昼間映画を観に行き、バイト先に送って自宅に戻ると、珍しく早めの時間に玲佳さんがいた。

「あのバイトの子と本気なのと玲佳が聞いてきたんです。バレてるのかとギクッとしました。『玲佳こそ、会社の秘書と本気なのか』と聞くと、『あら、バレてるの』と。そこから話がおかしな展開になって、『お互いに息抜きしながら、この生活を続けていけばいいよね』という方向でおさまってしまった。いやいや、おかしいよ、僕らが一緒にいる意味はないよと言ったら、彼女が急に『離婚はしない』と」

 そこからふたりはことあるごとに、離婚しよう、いやしないと繰り返してきた。離婚しない理由を玲佳さんに問うと、「離婚しないと決めて結婚したから」と言う。ただ、実質的に夫婦らしいことは何もしていないし、玲佳さんが崇彰さんの経済力に頼っているわけでもないのだから、離婚しない理由がないと彼は説得しつづけた。

「でも私たち、ケンカしているわけでもないし、離婚する理由もないでしょ。離婚したら養親が悲しがると玲佳に言われて。それは一理ありますが、養親のところには僕がときどき遊びに行くしと言ったら、『だめよ、離婚したと知ったらどんなに苦しむか』と言うんです」

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