阪神はなぜ勝てた!? 本当にあった“不思議の勝ちあり”を振り返る!

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7本塁打を被弾しながらも

 2005年以来18年ぶりのリーグVをはたした岡田阪神。投打がガッチリかみ合った快勝の一方で、明らかに流れが悪い展開にもかかわらず、終わってみれば勝利という不思議な試合も見られ、これらのラッキーな白星も栄冠につながったのは言うまでもない。そして、過去にもファンの記憶に残る阪神の「不思議の勝ちあり」が何度かあった。【久保田龍雄/ライター】

 投手陣が7本塁打を被弾しながらも、コツコツ得点を重ね、相手より6本少ない1本塁打で勝利したのが、2007年9月7日の巨人戦である。

 8月30日から7連勝中の阪神は初回にシーツの中前タイムリーで幸先よく1点を先制するも、その裏、先発・ボーグルソンが2死から高橋由伸に同点ソロを浴び、2回にも李承燁、ホリンズにソロ2発を被弾、1対3と勝ち越されてしまう。さらに4回にも李に2打席連続ソロを許し、リードを広げられた。

 空中戦では巨人の重量打線が圧倒的に有利ながら、猛虎打線も“つなぎの野球”で食い下がる。5回、赤星憲広のタイムリーや連続押し出し四死球などで4点を挙げ、5対4と一気に逆転した。ところが、その裏、ボーグルソンが高橋由に逆転2ランを浴び、計5被弾でKOされてしまう。

「7発打たれて勝つなんて、そら、珍しいやろ」

 それでも、阪神はコツコツとチャンスの輪を広げ、7回に代打・高橋光信、矢野輝弘の連続タイムリーで7対6と再逆転、8回にも金本知憲のタイムリーでリードを2点差に広げた。だが、久保田智之が8回2死から李、二岡智宏にまさかの連続ソロを被弾し、試合はあっという間に振り出しに。

 追いつ追われつのシーソーゲームに決着がついたのは9回だった。代打・桧山進次郎が上原浩治にカウント1-2と追い込まれたあと、フォークに体勢を崩されながらも右手1本で振り抜くと、フラフラと上がった打球は、「最後の右手に気持ちが乗り移った」という桧山の執念が勝り、値千金の決勝ソロとなって右翼席に吸い込まれていった。

 そして、最終回の巨人の攻撃を藤川球児が3人でピシャリと抑えて、9対8で8連勝。首位・巨人に0.5ゲーム差に迫った。

 わずか1本塁打で7本塁打に勝つという不思議の勝ちに、岡田彰布監督も「7発打たれて勝つなんて、そら、珍しいやろ。記録ちゃうか?ふつうは負けやろ」と上機嫌だった。

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