10代女性に目隠しをして強姦…千葉県警「46歳元警部」の狡猾すぎる“証拠隠滅”

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「包丁見えるでしょ、動かないで」

 複数の女性に性的暴行を加えたほか盗撮を行ったとして起訴されている、千葉県警察本部「元警部」の第2回公判が8月31日に千葉地裁(品川しのぶ裁判長)で開かれ、検察官は元警部に懲役17年を求刑した。【高橋ユキ/ノンフィクションライター】

 市民の生活を守るはずの警察官が盗撮を行なっていただけでも驚くべきことだが、あろうことか性的暴行を繰り返す“連続強姦魔”だったというのだから、その衝撃は計り知れない。逮捕は昨年8月。当時、捜査4課の警部だった岡田誠被告(46)は、京成千葉駅の上りエスカレーターで女性のスカート内にスマホを差し入れ、盗撮したとして現行犯逮捕された。これがきっかけで、過去の性的暴行事件も明るみに出る。その後の捜査において、現場から採取されたDNA型が一致したことなどから、未解決だった複数の性的暴行事件が岡田被告によるものと判明したのだ。

 今年7月の初公判罪状認否で「すべて間違いありません」と、か細い声で認めた岡田被告。彼は3件の盗撮のほか、2014年から2017年にかけて、10代後半~20代の女性3人に性的暴行を加えたとして、強姦や強制性交等などの罪でも起訴されている。

 被告はきまって深夜に、空き巣の如く窓や玄関ドアから女性宅に侵入した。そして、寝ていた女性にいきなり刃物を突きつけて脅し、犯行に及ぶのだった。

 2014年7月の深夜、岡田被告はDさん(当時19)が住む部屋に掃き出し窓から侵入。就寝中のDさんに包丁を突きつけて「顔を見たら殺すから目隠しする」。その言葉通り、Dさんに目隠しをした上で強姦した。そして、翌15年7月の深夜には、Fさん(当時22)方に侵入。「騒ぐと殺すぞ」と刃物のようなものを突きつけ、バスタオルで目隠しをして強姦。さらに2017年7月の深夜、Eさん(当時29)方の掃き出し窓から侵入し、「包丁見えるでしょ、動かないで」と刃物を見せて脅した上で性的暴行に及んだとされる。

犯行後、被害者を“風呂”に入れる

 行為後、岡田被告はすぐに現場を立ち去らなかった。その代わりに、被害者宅のシーツを洗濯したり、被害者を風呂に入れたりしていたという。犯行に及んだのが現役の警察官だったことを考慮すれば、“証拠隠滅”という言葉が思い浮かぶのはむしろ当然と言える。岡田被告が逮捕後しばらく、DNA鑑定のための検査を拒んでいたことも頷ける話だ。何度となく繰り返されたであろう脅し文句と手慣れた犯行、証拠を残さない狡猾な手口、その結果、積み重なった未解決事件の数々――。岡田被告が手を染めた性的暴行は、起訴されている3件だけではないこともわかっている。

 全ての公訴事実を認めていた岡田被告ではあるが、7月の初公判で、性的暴行の詳細については「記憶がない」と証言していた。また、2014年1月に孤独死した父親に対し「もっとできることがあったのでは」という自己嫌悪があり、「やけになって、相手の立場で物を考えられなくなった」状態で性的暴行を繰り返したとも語った。

「犯行の記憶」がないと主張する岡田被告に対し、第2回公判で裁判官らがその理由を尋ねると、黒いスーツに坊主頭の被告は、マスクの下から聞こえるか聞こえないかの弱々しい声でこう語った。

「自分のなかで罪悪感を持つような行為……、記憶、消したい部分もある」

 むしろ罪悪感を持つ行為であるほど忘れられないのではないか、という問いに対しても「大体のことは覚えていますが、時間が経ってしまったとか、そういうことで記憶がない」と、あくまでも犯行当時の記憶がないと主張し続けた。

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