【VIVANT・最終回】今年最大のヒットドラマなのに「続編は白紙」のワケ

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CGをほぼ使わず…一般的なドラマと違う映像

 映像の特長はまずCGをほとんど使っていないこと。だから、映像に説得力や迫力があった。2話でバルカ共和国の砂漠にいた憂助、野崎、医師の柚木薫(二階堂ふみ・28)、ドラム(富栄ドラム・31)を襲った砂は本物。7話で憂助と柚木の抱擁の舞台となった美しく幻想的な桜並木もまた本物だった。

 NHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜午後8時)はCGの馬を使い、大顰蹙を買った。現段階のCGではどうしても本物には敵わない。ただし、本物は金がかかる。

 地味に思ってしまいがちな国内編にも金と手間が掛けられた。6話で憂助は凄腕ハッカーの太田梨歩(飯沼愛・20)を匿ったマンションに向かうため、商店街を進んだ。背後には尾行する警視庁公安部刑事の新庄浩太郎(竜星涼・30)がいた。

 商店街はまるで年末セールのような賑わいだった。だが、これは全てスタッフが作り出したもの。エキストラだ。本物の人混みの中では撮影許可が下りない。第一、通行人が一般市民だったら、堺と竜星に寄ってきてしまい、撮影にならない。ほかのドラマに人混みのシーンが少ないのは金と手間の問題である。

1話の時点で約束されていた成功

 7月17日放送の1話の世帯視聴率が11.5%と判明した際、一部で「低い」との声が上がった(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。もっとも、世帯視聴率は3年半前から放送界もスポンサーも使っていない。

 放送関係者の現在の物差しである個人全体視聴率は7.4%だった。個人全体視聴率は6%超えでヒット、8%超えで大ヒットが目安だから、十分高かった。しかも、視聴率が伸びにくい2時間拡大版だったことを忘れてはならない。

 なにより目を引いたのは1話のT層(13~19歳)の個人視聴率だった。4.9%にも達していた。ほかのドラマの2倍弱から3倍以上。1%に満たないドラマもあるから驚異的と言ってもよく、他局でも話題となった。

 10代は普段、テレビをあまり観ない。2021年の総務省調べによると、平日1日にテレビを観る時間は平均で僅か約57分。50代の約3時間7分とは大差がある。そんな10代が観るドラマは個人全体視聴率が上昇する。上の世代はもとからテレビを観るからだ。

 また、いつの時代も流行を牽引するのは若者。10代が観るドラマは活気づき、世間の話題になる。

 その後もT層の個人視聴率は高く、9話は7.7%だった。謎を考察できることや迫力ある映像などが10代を惹き付けるのだろう。

 ちなみに9話の個人全体視聴率は9.8%。堂々の大ヒットである。

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