柔道パリ五輪内定の斉藤立に「親の七光り」の声 強化委員の一人は「内定に反対票を入れた」
「規定通りに選考」と強調
全日本柔道連盟強化委員会委員長の金野(こんの)潤氏に話を聞くと、
「柔道はタイムを競う競技ではありません。その特性上、代表選手を選ぶにあたっては、“どの選手に勝ったのか”“どんなレベルの大会で結果を出したのか”など、さまざまな見方があるわけです。監督やコーチがいろんな観点を踏まえて候補者を選定し、強化委員会で議論する。内定者は最終的に、多数決で決めます。内定にはまだ早いという意見が多数だった場合は、選定が覆されるわけです」
そして、こう強調する。
「今回も規定通りに選考は行われています。“斉藤選手がまだ早い”という考え方があるのは、十分理解しています。ですが、みんなで考えて議論した結果、内定者が決まったのです」
微妙な選考
しかし、さる強化委員は、
「自分は、斉藤の早期内定には反対票を入れました。12月に開催される、グランドスラム東京大会の結果を見てから決めてもいいのではないかと。微妙な選考だったことは確かです」
さらに、こうも苦言を呈する。
「(選考基準の)“明らかに優位”という部分が抽象的すぎる。当事者が納得できるならばいい。でも今回は、選手たち自身も“明らかに優位”である、と感じているわけではないのでは」
斉藤は前述の5月の世界選手権でリネールに敗北を喫し、絶対王者の9度目の優勝に道を開かせる形となった。一方、落選した影浦は3年前、この強敵に1度勝利している。
異論を撥ねのけるためにも、五輪の晴れ舞台で“怪物”をねじ伏せるほかない。
[2/2ページ]