MC番組が続々終了…指原莉乃は上手な転身? 転落? 「敵がいない」という負の要因

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

弱者戦略の成功と失敗で重なるあの人 指原さんも抱えるリスクとは?

 同じやり方で人気者となった女性で、現状が重なる人がいる。小池百合子都知事だ。

 圧倒的な支持を得て都知事選を制した時は、自民党東京都連の推薦を得られず、さらに石原慎太郎氏の「大年増の厚化粧」発言もあった。けれどもそうした逆風を逆手に取り、旧態依然とした男社会に立ち向かう「いじめられているか弱き女性」というイメージが功を奏した。「小池劇場」と呼ばれる立ち回りのうまさは常に、強大な権力や敵に立ち向かう弱者の私、という構図に則っていたといえる。

 しかしその後はこれといった業績もないまま、指原さん同様に「落ちぶれた」と批判されてばかりである。公約として 掲げた「七つのゼロ」はいずれも実現せず、念願の東京オリンピックもコロナ禍と不祥事のダブルパンチ。いつもの戦略で成功したのは、女性蔑視発言をした東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長を辞任に追い込んだ時だけだ。

 自分より知名度も権力もあるオジサンに盾突くように見せて、実は男社会でいいポジションを獲得し続ける状況判断力と器用さと度胸。それはまさしく、指原さんの賢さにも通じる。

 実績の無さとは関係なく、都知事2期目は楽勝で当選した。有力な対抗馬がいなかったからで、その状況は今も変わらない。

 それはMCを務めるほどまでに売れた指原さんに、今では憎むべき敵もライバルも見当たらないのとよく似ている。

 敵がいないということは、指原さんや小池都知事タイプにとっては武器を失うということである。そして最も怖いのは、ひとたびのし上がって強者の立場になれば、今度は自分が斬られる側に回るというリスクではないだろうか。

「賢い」女性たちは続々と結婚…「小賢しい」と背中合わせの女性タレントたちの引き際

 ベッキーさんに矢口真里さん、小島瑠璃子さんといった面々を見てもわかる。「賢さ」を買われてMCを務めた若き女性タレントは、スキャンダルが出たら最後、「賢い」ではなく「小賢しい」と徹底的にたたかれる。指原さんもとっくに、その域に到達していることは自覚しているに違いない。

 こじるりは先日、結婚と妊娠を発表した。弘中綾香アナやみちょぱ(池田美優)さんなども次々と家庭を持ち始めている。

 大御所芸能人をものともしない舌鋒の鋭さと、空気を読んだ立ち回りで「賢い」と賞賛された女性たちはよくわかっている。立場が上の男性に偉そうな口を聞いてももてはやされるのは、「かわいい小娘」として許される年齢のうちだけだと。

 指原さんも結婚間近かともささやかれているが、彼女の「賢さ」の幕引きが、MC番組終了という形で消費されてしまうのはなんとももったいない。最近は冷めた口ぶりが目立つが、あまりに守りに入った言動もまた小賢しく見えてしまう。彼女の持ち味は賢さだけでなく、泥臭いほどの野心でもあったはず。スキャンダルでも結婚でも出馬でもない、日本中を熱狂させてきた指原劇場ならではの第二幕を期待したいものである。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。