「脱ジャニーズ」で今度はテレビ局がスポンサーに忖度 「クロ現」検証で思い出す民放が報じた“稲垣メンバー”
脱ジャニーズの動きが急ピッチで進んだ理由
ドラマ、バラエティーにも影響が出る。日産のほかにも、9月14日までにジャニーズ事務所との関係見直しを決めた企業が花王、日本生命、サントリー、キリン、アサヒ、サッポロの各HD(ホールディングス)など17社に達したからだ。しかもドラマを提供するナショナルスポンサー(全国を対象に宣伝活動を行う広告主)が多い。
日産と「24時間テレビ」の関係と同じく、ジャニーズ勢をCMには起用しないが、そのタレントの出演ドラマの提供は続けるという判断が下されるとは考えにくい。ジャニーズ勢が出るドラマに同事務所と決別した企業のCMが流れると、視聴者から方針の不一致を指摘される可能性もある。民放側がジャニーズ勢を降ろすことになるだろう。皮肉にもこれまでの忖度と逆だ。
同じ9月14日には、TBSのバラエティー「A-Studio+」(金曜午後11時)にゲスト出演するはずだった「Sexy Zone」中島健人(29)の収録が中止になったことが分かった。この番組は花王の1社提供。脱ジャニーズの動きが急ピッチで進んでいる。
同事務所と袂を分かつ企業が急増したのは、サントリーHD社長で公益社団法人 経済同友会の代表幹事を務める新浪剛史氏(64)の存在が大きかったと思われる。新浪氏は同12日の記者会見で、同事務所をかなり辛辣に批判した。
プロデューサーより遥かに強いスポンサー
会見での新浪氏は、ジャニーズ事務所のタレントを起用し続けることは「児童虐待を企業として認めること(になる)」との見解を示した。さらに「日本の企業は世界中から見られている。タレントの皆さんには心苦しいが、(私たちは)断固、毅然とした態度をとらねばならない」とも宣言。また、同事務所が社名を変えないことや、ジュリー氏が株式を100%所有し続けることも憂慮した。
新浪氏は、経済4団体の1つである経済同友会のトップであり、ローソン社長からサントリーに転じたスター経営者でもある。政財界への影響力は強い。
加えて、サントリーと花王、日本生命はいずれもTBS「日曜劇場」(日曜午後9時)のメインスポンサー。花王は日テレの「水曜ドラマ」(水曜午後9時)、同「土曜ドラマ」(土曜午後10時)、テレビ朝日「木曜ドラマ」(木曜午後9時)などのメイン級スポンサーである。
ほかにも同事務所との関係を見直す企業がスポンサーのドラマがある。ジャニーズ勢への影響は必至だ。ファンたちからは不満の声が上がるだろうが、ドラマを提供することで制作費を出すのはスポンサーとなる企業。その権限はプロデューサーより遥かに強い。
スポンサー側は高視聴率と商品のイメージアップを望んでいるから、性加害問題は容認するはずがない。同事務所側が企業側の求める被害者の救済と組織改革を果たさぬ限り、以前の状態には戻らないだろう。
民放は既に来年の冬ドラマ、春ドラマのキャスティングを済ませていた。
「ジャニーズ勢がかなり出ることになっていた」(民放ドラマ制作者)
これを出来る限り変更することになる。スポンサーとなる企業の意思ばかりではなく、担当広告代理店、民放の配慮も加わる。
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