「VIVANT」豪華キャストの中で異彩を放つ飯沼愛 凄腕ハッカー役の若手女優は「末恐ろしい」と評価されていた

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「末恐ろしい」と評価されたオーディション

 2021年3月からの約半年間は、オリジナル脚本による全10回の演技課題に挑んだ。自分で撮影した課題演技の動画と、審査員の前で行う演技バトルで競い、ポイントの累積でランキングが付けられていくシステムだ。彼女はまったくの演技未経験者ながら初回から高評価を受け、その後も高い演技力でトップを走り続けた。飯沼ならこれくらい出来て当然とも思えるような、見えないハードルが課されているかのような場面もあったほどだ。

 回を重ねるごとに高くなるハードルを飛び越えていった飯沼は、誰もが納得の1位で見事女優デビューのチャンスを勝ち取った。オーディションプロジェクトの総合プロデューサーである秋元康は「演技にかけるストイックさ、努力が見えました」と評価。同じく最終審査を行った劇作家の根本宗子も「末恐ろしい」と語った。

 1位になった飯沼は、TBS初の“よるおびドラマ”として放送された「この初恋はフィクションです」(2021年秋)に主演した。演じた役は、学年トップの成績を収めながら、恋愛には消極的なところがある高校2年生の倉科泉。ドラマ初出演にして初主演だったが、泉のチャーミングな面を見事に引き出す好演を見せた。

 TBS「パパとムスメの7日間」(2022年夏)で主人公の川原小梅を演じた次は、TBS「日曜劇場 アトムの童」(2022年秋)でゴールデンタイム連ドラ出演を果たした。演じたのは、山﨑賢人が演じる主人公・那由他が間借りしていたネットカフェのアルバイト店員・杉野結衣役だ。出番は限られていたものの、”日曜劇場デビュー“はすでに果たしていた。

 今年からはようやくTBS以外のドラマにも進出。NHK「天使の耳~交通警察の夜」とテレビ朝日「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」第4話にゲスト出演した。

「VIVANT」で見せた“目”の演技が秀逸

 そんな飯沼の魅力は、やはり飾り気がなく素朴で清純なところだろう。20歳とは思えないほど大人びた面もあり、何気なく佇む姿は女子アナにも見えるほどだ。

 良い意味で負けず嫌いなところも見逃せない。「私が女優になる日」では、審査員から満票を貰いながらも、自分が準備していた演技に届かなったと悔し涙を浮かべた。同番組のスタッフは「人一倍の練習量で、誰よりもここに懸ける気持ちが強かった」と語っている。

 演技面で何よりも光っているのは、セリフのないときの表情だろうか。「VIVANT」第6話では、飯沼の演じる太田梨歩が1億円で保釈され、別班メンバーの黒須駿(松坂桃李)の前で国際テロ組織・テントのサーバー解析を試みている。そこで見せた“目”の演技が秀逸だった。

 パソコンと向き合っているとき、ふと目を逸らしたとき、黒須の様子を窺うときなど、一つ一つに意味を持たせ、強い意志を感じさせる瞳の使い方が効果的だった。タイムリミットで急かす黒須に対し、「うるさいっ! ハッキングなんて最後は運、神様の気まぐれ!!」と怒鳴った場面や、自分にナイフを向けるシーンも強いインパクトを残したが、彼女の“静”の演技があってこそ際立ったように思える。

「VIVANT」で一躍注目の若手女優となり、次は広瀬アリス主演のTBS「マイ・セカンド・アオハル」(火曜夜10時)に出演する。演じるのはシェアハウスに住む大学生で、何事にも動じない沢島真凛役だ。どんな演技をみせてくれるのか、今から期待したい。

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