「性加害問題」でジャニーズファンの気持ちを思えば…SMAPファンの一途な思いが起こした“奇跡の新聞ジャック”が忘れられない

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どうか届きますように

 署名運動が終わったらファンも「その日」を待つしかなくなる。しかし、その後も11月13日の木村拓哉の誕生日や、12月8日の稲垣吾郎の誕生日に同様のお祝いメッセージは多数掲載された。そして集大成は12月30日、朝日新聞にデカデカと掲載されたSMAPに感謝するメッセージ広告だ。これはクラウドファンディング「SMAP大応援プロジェクト~新聞メッセージ・どうか届きますように~」で約1万3000人から4000万円の資金が集まり実施された。

 かくして私は、「SMAPにこれからも活動してほしい」というファンの純粋な思い、その活動と連携を見続けたわけで、現在の「ファンも悪事に加担した。反社会的勢力への資金提供と同じだろ」的な論調に乗っかれないのである。無論、それは私の特殊な事情なので、ファンを批判する人を叩く意図はない。

 さて、このファンによるアナログな「新聞広告作戦」の後日譚だが、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が結成したファンサイト「新しい地図」の告知30段広告が2017年9月22日、東京新聞と朝日新聞に掲載された。3人がファンの熱心な応援に同じ方法で応えたのである。この広告は中日新聞社広告大賞一般紙の部特別賞を受賞し、草なぎが授賞式に訪れるという結末を迎えた。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。9月19日には、最新刊『過剰反応な人たち』(新潮新書)が発売予定。

デイリー新潮編集部

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