「性加害問題」でジャニーズファンの気持ちを思えば…SMAPファンの一途な思いが起こした“奇跡の新聞ジャック”が忘れられない

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いいこと教えてくれてありがとうございます

 私はネットの論調を見るのが仕事であるため、ファンのこの動きについては若干の「うねり」を感じるとともに、悲痛にも近い諦観を覚え、その一方で、何とかできないかとも思った。私は特にSMAPのファンだったわけではない。ただ、ファンが気の毒に思えたのである。そのうえで、メディアに身を置く者として、9月1日の午後に一つのツイートをした。東海道線のグリーン車の中でPCから打ったことを覚えている。

「SMAP結成25周年で感謝の意見広告出そう、的ツイート見たが、さすがに新聞広告は高いよな。でも東京新聞、激安じゃねぇか!SMAPファンはここ使えば?」

 ここに、東京新聞の読者投稿メッセージ広告欄「TOK TOK」へのリンクを貼ったのだ。私は東京新聞に2012年5月から週1回連載を担当しているため、この情報を知っていた。金額は3行の文章を3回で500円(当時)という激安ぶりである。使われ方としては、家族の誕生日祝いやらサークル活動参加の告知、売ります・買います、同窓会の案内などがある。当然、SMAP25周年はお祝いにあたるため、担当者も却下はしないと踏んだ。

 当時の私のツイッターのフォロワー数は2万人程度だったと思うのだが、さすがにそれでもSMAPファンの目には止まる。その日の夜には多数のRTと「いいことを教えてくれてありがとうございます!」とのメッセージが、SMAPファンを示すクリップマーク付きIDの人々から多数書き込まれた。このクリップマークは「ファンの気持ちは一つにまとまっています」を意味する。そして、この情報がファンの間で交換され、「TOK TOK」へのリンクも同時に各人のツイートに貼られた。

お祝いメッセージ

 ファンは「TOK TOK」の申し込み表の画像をツイッターで紹介したり、東京新聞の広告部署にNGワードを電話で問い合わせ、それを共有したりなどする。申し込みの締め切りは9月8日午前11時。この締め切りを書いて申し込みを呼びかける人も出た。その結果、9月9日の朝刊の「TOK TOK」欄には、実に84件もの祝福メッセージが寄せられたのである。

「SMAPありがとう これからもずっと一緒に ★★★★★ (投稿者の名前)」「いつも笑顔をありがとう。10年後も20年後も色んなSMAPを私達に見せてください。これからも、ずっと一緒に。(同)」「SMAP様 デビュー25周年おめでとう キラキラの笑顔をこれからも…We Are SMAP☆(同)」

 この日は河北新報や西日本新聞などでも同様のお祝いメッセージが掲載され、ファンの間では大きな話題となった。その後、SMAPファンはメンバーの誕生日やベストアルバム発売日などの節目の日に「TOK TOK」を含めた地方紙の投稿欄にメッセージを送ることが慣例となった。

 その中でも圧巻だったのが、「SMAPの存続と活動継続を願う直筆署名運動」終了翌日の11月1日の208件。30段(2ページ)+αのメッセージが東京新聞紙面にぎっしりと掲載されたことだ。普段の読者は「一体なんじゃこりゃ?」とは思ったはずだが、ファンからすれば感慨深かっただろう。地方のファンは「東京新聞、お取り寄せはできますか?」などと関東のファンに問い合わせをするなどした。当然、この広告画像も共有された。

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