〈女子ゴルフ〉19歳「櫻井心那」は10代3勝の快挙 同じく若年化が進む米国では今年1年で5人の「世界ナンバー1」が誕生

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ナンバーワンを狙う注目選手たち

 今年だけで通算2勝を挙げたインは、現在も世界ナンバーワンを維持している。だが、彼女に追い打ちをかけている選手、追い打ちをかけそうな選手は、すでに多々見られる。

 現在、世界ランク5位につけているフランス出身の29歳、セリーヌ・ブティエは今季3勝、通算5勝と勢いを増している。

 8月のCPKC女子オープンで初優勝を挙げた米国出身の25歳、メーガン・カンは翌週のポートランド・クラシックでも優勝争いに絡み、2週連続優勝に迫った。

 そんなカンを抑えて見事、勝利を挙げたのは、マンデー予選を突破して同大会に出場したタイ出身の19歳のルーキー、シャネッティ・ワナセンだった。マンデー予選から出場して優勝した選手は、米LPGA史上では過去に2例しかなく、2000年のローレル・キーン、2015年のブルック・ヘンダーソンに次ぐ3人目の快挙だ。

 ワナセンは初日を66で好発進すると、2日目は65、最終日は大会記録を5打も更新する63をマークして堂々の優勝。上位には2週連続優勝がかかっていた絶好調のメーガン・カンをはじめ、イン・ルオニンやリン・シユといった中国勢、そしてスペイン出身のカルロタ・シガンダなど強豪選手が顔を揃えていた。

 その中で、マンデー予選から進んできた19歳のルーキーが快勝したことは、米女子ゴルフ界の若年化にますます拍手がかかっていることを如実に示している。

 世界ランク1位の「女王」も、毎週毎試合の「チャンピオン」も、くるくる回転して入れ替わるリボルビングドア状態。新陳代謝が活発であることは新鮮さや面白さが溢れ、ファンにとっては興味を引かれる現象と言えそうだ。

 しかし、選手の黄金期があまりにも短命になってしまうことには、はかなさも感じられる。魅力的な選手であればなおさら、末永く活躍し、円熟味のあるゴルフを披露して、フファンを楽しませてほしいと思う。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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