最後の勝利から1ヶ月…絶不調の「今村聖奈」に心配の声 復調の「藤田菜七子」はスペイン遠征の明暗
圧巻の逃走劇――。9月10日(日)に阪神競馬場で行われたメインレース・「セントウルステークス」(G2、芝1200メートル)は、15頭中14番人気のテイエムスパーダ号(牝、4歳)がハナを切って先頭に立ち、そのまま後続を引き離して一着でゴールイン。単勝112.6倍の万馬券という大波乱を巻き起こした伏兵の活躍に、競馬ファンは大いに盛り上がった。ところでこのテイエムスパーダ号、かつてはあの今村聖奈騎手が騎乗していたが、今回は富田暁ジョッキーに乗り替わっての大金星。一体何があったのか。
【明暗】スマホ問題で正念場が続く今村聖奈ジョッキーと、復調の兆しを見せる藤田菜七子ジョッキーの愛くるしい私服姿
自分のペースで気持ちよく
まずはスポーツ紙デスクがレースを振り返る。
「テイエムスパーダは、スタート直後からなんとしても前を取るぞという気迫を見せ、外から馬群の先頭目掛けてぐいぐいとやってきました。開幕週とあって、阪神競馬場の芝はパンパン(※傷みがなく走りやすいこと)で、そのまま勢いは止まらず、また、人気薄で誰もマークしていなかったため自分のペースで気持ちよく走り続けた。最後は、中団で待機し、直線に向いて伸びてきた2番人気のアグリに1馬身差をつけての圧勝でした。前走の北九州記念(G3、芝1200メートル)では13着と大敗していただけにここまでの復活には流石に驚きましたね」
ちなみに、その大敗を喫した北九州記念では、昨年デビューし、最多勝利新人騎手に輝いた今村聖奈騎手が騎乗していた。
「この時は、道中は2番手を追走していて、これはいけるかなと思いましたが、最後の直線でずるずると後退していきました。テイエムスパーダと今村聖奈というコンビで、しかも舞台は小倉競馬場ということだったので、もしかしたら、と少しは期待していたのですが……」
30日間の騎乗停止処分
そう、実は今村聖奈騎手は、昨年7月に小倉競馬場で行われたCBC賞(G3、芝1200メートル)で、このテイエムスパーダ号に騎乗し、圧倒的なスピードで逃げ切り、日本レコードで優勝。重賞初騎乗初勝利という快挙を成し遂げたのだ。この後、勢いに乗って、蓋を開けて見たらデビュー年で51勝をマーク。“武豊以来の天才”とまで謳われたのだった。
ところが、2023年は、9月13日時点で21勝と、そこそこ勝ち鞍を挙げてはいるものの、昨年のような勢いは見られない。そして今回、テイエムスパーダ号は、今村騎手での大敗直後に、富田騎手に乗り替わっての重賞制覇。さすがに“今村聖奈、大丈夫か”との声が競馬ファンの間で持ち上がっているのだ。
競馬関係者がいう。
「今村の不調の発端は、今年4月、通信機器の使用が禁止されている調整ルームと呼ばれる場所で、他の若手ジョッキーらとともにスマホを使用したことが発覚したことです。事態を重くみたJRAは、今村を含む6人の騎手に対し、30日間の騎乗停止処分を下した。これによって騎乗回数が減ったことで、勝ち鞍を減らしたのは事実でしょう」
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