ロッテ「佐々木朗希」が驚異の復活でCSのカギに 他球団は「本調子になったらヤバいぞ」吉井監督は独特の表現で現状分析
「順調だと思います」
本当の「復活登板」は、クライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージということだろうか。
【写真を見る】「チームの柱」になる日も遠くない(千葉ロッテマリーンズの公式インスタグラムより)
9月10日のオリックス戦、左脇腹の肉離れで離脱していた千葉ロッテ・佐々木朗希(21)が48日ぶりに先発マウンドに上がった。3イニング45球、被安打2失点1で敗戦投手となってしまったが、リーグ優勝目前のオリックスナインにも脅威を与えることには成功したようだ。
試合後、吉井理人監督(58)のコメントがなんとも意味深だった。
「順調だと思います」
佐々木の状態について聞かれ、そう答えた。さらに続けて、
「ただ久しぶりに投げたということで、たとえがヘンだが、旅行に長い時間行ったあと、自分の家の居間で寛ごうと思ってもちょっと居心地が悪い感じってのがある。そういう感じだと思う。これは投げていくうちに戻ってくると思う」
独特な表現で、同日の投球内容を評した。額面通りに受け止めれば、佐々木は「調整」で登板したことになる。
「調整? その通りかもしれません。だって、佐々木は二軍戦にも登板させないで、10日の先発が決まりましたから。2、3度、ブルペン投球はさせましたが。スタッフに打者役で打席に立ってもらうブルペン投球を1回やっただけです」(チーム関係者)
チーム離脱のきっかけは、7月24日だった。試合途中から左脇腹に痛みを感じたと言い、6回途中にはガマンできないほどに痛みが増していたそうだ。
「オールスターゲーム第1戦に先発し、中4日での登板でした。WBCから休みナシの状態だったので、体が悲鳴を上げたのでしょう」(スポーツ紙記者)
「全力投球ができるようになるまで、2カ月は掛かる」と、球団側も発表していた。そのため、「今季は治療に専念させ、来季以降に備えるべき」の声も多く寄せられていたが、8月末には一軍練習に復帰、10日の先発となったのである。
CSで3回先発?
「クライマックスシリーズを見据えての復帰でしょう。復帰登板した試合後、吉井監督は『先発投手は何人いても困らない』という話もしていました。でも、佐々木が投げられるのと投げられないのでは、大きく違ってきます。佐々木はオリックス相手に完全試合を達成していますから」(前出・同)
同試合を終えた時点での首位・オリックスの優勝マジックナンバーは「10」。2位・千葉ロッテとのゲーム差は「12」まで広がっており、残り試合数の関係から「クライマックスシリーズでの逆転、日本シリーズ進出策」に切り替えたというのが大方の見方だ。
「3位・ソフトバンクと4位・楽天は1.5ゲーム差でCS進出を争っています(11日時点)。どちらが出てくるか分かりませんが、CSファーストステージは3戦先勝、ファイナルステージは4戦先勝でVチームには『1勝』のアドバンテージがつきます。つまり、千葉ロッテはCSで7勝しなければなりません。ファーストステージ、ファイナルステージで佐々木を3回先発させることもできるかもしれません」(前出・関係者)
千葉ロッテがファーストステージを勝ち上がり、オリックスと日本シリーズ進出を争うことになった場合、先発投手がカギを握るのは間違いない。
「佐々木の復帰登板前日、オリックスの山本由伸(25)が千葉ロッテ打線を相手に、2年連続ノーヒットノーランを達成しています。日本のエースである山本に対して、どの球団も苦手意識を持っていますが、千葉ロッテはなおさらイヤな印象を持ったと思います」(ベテラン記者)
佐々木はファーストステージ、ファイナルの両方に登板するだろう。ファーストステージの舞台は2位・千葉ロッテの本拠地、ZOZOマリンスタジアムとなる。佐々木の今シーズンの「球場別成績」を見てみると、ZOZOでは8試合に先発して防御率0.73、5勝1敗の好成績を残している(12日時点)。同球場独特の海陸風が佐々木のウィニングショットであるフォークボールの落下中に“揺れ”を与え、対戦打者を苦しめてきた。
「佐々木のフォークボールですが、直球と同じ軌道で放たれるんです。球場は関係ないと思います」
これは、在京パ・リーグ球団スタッフの証言だ。一部ではファイナルステージが行われる京セラドームでは、「フォークボールの威力が落ちる。佐々木も投げにくそうにしている」と否定的な意見もあるが、京セラドームでの対戦成績は3試合登板で1勝負けナシ。防御率1.71だ。他の投手なら、「相性の良い球場」と言っていいくらいだ。
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