中日は2年連続最下位確実、最低勝率の可能性も…、それでも他球団から「オフは立浪監督と話がしたい」と言われる理由

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球団ワースト記録を更新か

 2年連続の最下位ながら、今年のオフシーズンで、中日・立浪和義監督(54)が注目を集めそうだ。

 9月9日の巨人戦で完封負けを喫し、中日ドラゴンズの借金は今季最多タイの「28」まで膨らんだ。打線は33イニング無得点、「東京ドーム8連敗中」の悪夢も断ち切ることができず、立浪監督は目を吊り上げ、無言でダッグアウトへ――。

 しかし、コーチ陣、チームスタッフはそんな指揮官のイライラぶりを見慣れたのか、誰も追い掛けようとしなかった。そして、翌日も負け。東京ドーム連敗記録は「9」に伸びた。

 12日のDeNA戦は勝ったものの、このままシーズンを終えることになれば、本当にヤバイことになる。2年連続最下位は球団初、チームの成績は12日現在、47勝75敗4分け。勝率は3割8分5厘となった。これまでの球団ワーストの勝率は1968年と95年の3割8分5厘。最低でも今の勝率を維持し続けなければ、1950年の2リーグ制以降の球団ワースト記録も更新してしまう。

「借金も30に到達したら、95年以来の屈辱です」(名古屋在住記者)

 2年連続最下位、最低勝率、借金30。立浪監督は「ドラゴンズ史上“最弱”の指揮官」の汚名も着せられるのだ。だが、それでも立浪監督がクビになりそうな気配がない。

「今オフの補強も立浪監督がトップダウンで決めるはずです。ドラフト会議、トレード、外国人選手の補強、現役ドラフトもみんな立浪監督の希望するタイプの選手が集められるでしょう。だからこそ、オフは立浪監督と一番に話がしたいんです」

 他球団のスタッフからそんな声も聞こえてきた。というのも理由がある。立浪監督が獲得した外国人選手はイマイチだったが、トレードと現役ドラフトに関しては大成功しているからだ。

立浪ドラゴンズは最高の戦力供給源

 とくに、現役ドラフトで獲得した細川成也(25)、シーズン途中にトレード獲得した宇佐見真吾(30)の2人は4番も任されたほど。立浪監督の「日本人選手を見極める眼力」は流石だが、注目すべき点がもう一つある。放出された元中日選手も移籍先で活躍し、“幸せ”になっていること。つまり、積極的なトレードを仕掛けてくる立浪流は、他球団にとっては最高の戦力供給源でもあるのだ。

「立浪監督がこれまで放出した選手にはある傾向が見られます。彼に干された選手です。京田陽太(29=DeNA)がまさしくそうでしたが、宇佐見との交換トレードで放出された郡司裕也(25=日本ハム)もそうでした。郡司は開幕一軍だったのに、出場チャンスももらえず、そのままファーム落ち。二軍で悶々としていたら、案の定」(前出・名古屋在住記者)

 今季、出場機会を失った、あるいは激減した中日選手といえば、真っ先に浮かぶのが、ダヤン・ビシエド(34)だ。

「高橋周平(29)も『放出要員』のようです。21年シーズンは137試合に出場しましたが、立浪監督が就任した22年は78試合に激減しました。今季も169打席しかありません。ホームラン、打点は高くありませんが、サードだけでなく、二遊間も守れるし、20年シーズンでは3割を打っています。サードを明け渡した石川昂弥(22)を育てるのが優先となると、高橋も……」(前出・同)

 チーム別打撃成績を見てみると、高橋はヤクルト戦に強い。打率は3割3分の好成績を残している。打線強化を狙うパ・リーグ各球団も興味を持ちそうだ。

 高橋は東海大甲府高から中日入りした。中学時代は硬式野球クラブの湘南ボーイズにも在籍していたが、同クラブの田代栄次監督は東海大学野球部の出身だ。巨人・原辰徳監督(65)の父、原貢氏(78歳没)の指導も受けており、こうした東海大ネットワークから巨人が再起の場を用意する可能性も捨てきれない。

「88年オフの西本聖・中尾孝義のトレードに匹敵するような交換交渉が成立するかもしれません。球団の親会社は新聞を発行するライバル同士、同一リーグで主力選手を交換するようなトレードは衝撃的でした。原監督は3度目の指揮官就任にあたって、当時、解説者だった立浪監督にコーチ就任の要請をしているほど。両監督の関係性からもトレード成立はありえない話ではありません」(前出・関係者)

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