【トルコ戦】国内組の2人、堂安律、久保建英のプレーに感じた変化 今回の欧州ツアーで唯一、残念だったことは?

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肩の力が抜けた意味

 変化を感じたのはルーキーだけではない。例えば、MF堂安律である。伊藤敦の先制点のシーンで、タテパスを受けたらリターンで戻してアシスト役を演じた。以前の堂安なら、たぶんパスを受けたら反転しての左足シュートを狙っていただろう。ドイツ戦の3点目、FW浅野拓磨のゴールをアシストしたMF久保建英のプレーも同じである。

 ほんの1年前までの2人は、レギュラーポジションを確保するために「ゴール」という結果を求めていた。それが誰の目にもわかりやすいし、アピールにつながるからだ。

 しかし、今回の2試合では、2人ともいい意味で「肩の力が抜けて」いた。「周りの選手を使う余裕」があった。自信がなければできないプレーであり、堂安にとっては「背番号10」を背負っていることが、久保にとってはレアル・ソシエダ(スペイン・ラ・リーガ)での好調が、その原動力となっているのかもしれない。

 試合は、前半44分にFKから、後半16分には右サイドを崩されて失点した。前半44分の失点の際はGK中村航輔が負傷するアクシデントもあった。重傷でないことを祈るばかりだが、今回の欧州ツアーで唯一残念だったのが、ドイツもトルコも基本的に「地上戦」を挑んできたことだ。

空中戦での弱点

 カタールW杯のドイツ戦、スペイン戦とも、日本の失点はアーリークロスからのヘディングである。これが日本にとって、欧州や南米勢だけでなく、アジア勢を相手にしても克服できない弱点であり課題だった。

 今回のツアーは真剣勝負ではないため、ドイツもトルコもまずは自分たちが理想とするスタイルで戦ってきた。両チームとも劣勢になってもパワープレーは見せなかった。さすがにフレンドリーマッチで日本相手にそれを演じては、両監督とも恥ずかしいと思ったのかもしれない。

 だからこそ、来年1月にカタールで開催されるアジアカップまで、一度はロングキックによるカウンターやハイクロスによるパワープレーを前面に押し出すチームとの対戦を見たいと思っている。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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