【トルコ戦】国内組の2人、堂安律、久保建英のプレーに感じた変化 今回の欧州ツアーで唯一、残念だったことは?
トルコとの対戦は2002年、日韓W杯の決勝トーナメント1回戦で0−1と敗れて以来21年ぶりとなる。サッカーの歴史においては、たかが21年かもしれない。だが、ベルギーのゲンクで12日に行われた親善試合では、トルコに4−2で勝利。歳月が日本とトルコの力関係を逆転させたことを示した。
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【写真を見る】21年振りのリベンジを果たす 日本中が熱狂した「伊藤敦樹」代表初ゴール
21年前の試合では、FW柳沢敦が負傷。フィリップ・トルシエ監督は、2トップに西澤明訓と本来はサイドアタッカーの三都主アレサンドロを起用する奇策に出た。しかし、急造のシステム変更は機能するはずもなく、開始12分の失点で敗れ去った。
惜しい試合ではあったが、実力通りの結果とも言えた。当時の日本で欧州の5大リーグに所属していたのは、パルマ(イタリア・セリエA)のMF中田英寿とアーセナル(イングランド・プレミアリーグ)のボランチ稲本潤一の2人。あとはMF小野伸二がオランダのフェイエノールトでプレーしているだけだった。
対するトルコは、パルマのFWハカン・シュキュルやACミラン(イタリア・セリエA)のMFユミト・ダヴァラら10人が欧州5大リーグでプレーしていた。
それが今の両チームを比較してみると、5大リーグでプレーする日本人選手は12人に増え、ベルギーやポルトガル、オランダ、スコットランドなどを含めると、海外組は22人にも及ぶ。トルコは8人だから倍以上の人数だ。その一人一人が積み重ねた経験値の総数が、トルコ戦では内容はもちろん結果にも表れた。
試合開始直後こそ、ドイツ戦から中2日ということで、左SB伊藤洋輝以外はターンオーバー(先発メンバーの大幅な入れ替え)の影響から連係にぎこちなさが残ったものの、ボランチの伊藤敦樹があっさりとミドルシュートを突き刺して先制点を奪った。
高いモチベーション
ほんの数年前だったら、国内組の選手は「試合に入るまで」は萎縮して、無難なプレーを選択しがちだった印象がある。しかし、伊藤敦は臆することなく堂々としたプレーから、代表初ゴールをいとも簡単に決めてみせた。
同じことは右SBにスタメン起用された毎熊晟矢にも当てはまる。代表デビュー戦でありながら、前半36分にはボール奪取からドリブルで突進し、MF中村敬斗の3点目をお膳立てした。
彼ら2人のプレーを見て感じたのは、国内組だからこそアピールしなければならないという危機感と、チームとしての目標はW杯での優勝なので、生き残るためにはさらなるレベルアップが必要だといったモチベーションの高さである。
もう“海外組”だ“国内組”だと色分けする必要がないくらい、修羅場の経験値はともかくとして、意識の高さを感じた。Jリーグでレギュラーとして活躍していれば、海外組とも遜色なくポジション争いができる。今回の欧州ツアーは、日本のサッカーが新たな領域へと一歩を踏み出した、ターニングポイントになる2試合かもしれない。
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