「金庫番の報酬は500万円で実行犯の5~10倍」 ルフィ事件、「情報屋」「金庫番」らの相関図が明らかに!【捜査資料入手】

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極刑か無期か

 永田被告は今後、東京地検でも素直に取り調べに応じる可能性がある。指示役らに対する捜査はどう展開されるのか。先のデスクは、

「これまで当局はまず実行役や後方支援役を立件し、証拠固めを行って、その後に主犯格を立件する流れを取ってきました。現状では、今村が昨年5月の京都市の強盗事件、今年1月に千葉県で発生した強盗致傷事件で再逮捕されています。渡邉は先月23日、今年1月の東京・足立区の強盗事件に関連し、強盗予備容疑で今村とともに再逮捕されたところです」

 まだ広島や狛江での逮捕が控えているわけだ。とりわけ注目されるのが狛江事件。広島の流れを受け、強盗殺人容疑での逮捕、起訴があるか否かだ。

 この点、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士の解説に耳を傾けたい。

「狛江事件では実行役らは強盗致死で起訴され、強盗殺人は一人もいない。その状況では指示役も強盗致死での起訴になるでしょう。今後、永田の自供の信憑性が高いとなれば、彼の狛江事件での裁判が強盗殺人に訴因変更される可能性はあるかもしれません。ただそうだとしても指示役らが未必の故意を認める可能性は低いので、彼らを殺意の立証が必要な強盗殺人で訴追するのは難しい。これだけ社会に恐怖や不安を与えた事件であり、人が死ぬ危険性を認識しながら、なお強盗を指示したとする永田の供述が証拠として出れば、情状的には悪い方向に行くのは間違いない。それでも極刑に問える可能性はあまりないと思います。そもそも仮に強盗殺人で起訴できたとしても、死亡者が1人の場合、無期懲役に傾く公算が大きいといえます」

 ルフィたちを極刑で断罪するにはなおハードルが高いと指摘するのだ。

いくつも残された謎

 もっとも、狛江の女性の殺され方はあまりにひどくむごたらしかった。彼女は両手を結束バンドで縛られ、バール状のもので頭部を殴打されるなどの暴行を受けた。腹部も踏みつけられたうえ、左腕を折られ、骨が飛び出る“開放骨折”の傷を負った姿で発見されたのである。

 自らは手を汚すことなく、実行犯にそうさせたルフィたち。渡邉被告が犯行直前、送っていたテレグラムの指示にはこうあった。「女や老人を殴れるか」――。

 むろん遺族の犯人らへの処罰感情は激烈という。

 犯罪史上、まれに見る重大事件に執念の捜査が展開されながらも、このままでは被害者が浮かばれまい。しかも渡邉被告や今村被告の背後には出身地、北海道の暴力団の影も仄見える。情報屋しかり、ルフィ事件の“闇の奥”には解明されなければいけない謎がまだ幾つも残されているのである。

週刊新潮 2023年9月14日号掲載

特集「『ルフィ事件』捜査資料が暴く全貌」より

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